修士◆B1E4/CxiTwの物語



【世界最大教育機関】 [5]

学園全体の説明もいくつかあった。
その中で興味を惹かれたのが、この学校は全寮制で、
数人ごとに共同部屋で生活する決まりなんだとか。

そして、入学すると生活道具が支給されるが、その中にパジャマがあるらしい。
ただ、退学したり卒業すると、それらの道具は必ず返却しなければならないため、
一般には広まらないんだとか。
入学は誰でもできるのだが、それでも羨ましがる人は多いそうだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

もう、夕方。空が赤くなってから短くない時間が経過している。
全ての地区を回り、僕らはまた最初の建物、総合舎に戻ってくる。

セラウ「お腹が空いていませんか?客間でお待ちいただければ学食を運びますが」
僕「えっ?・・・あ、いや、自分で食べに行きますよ。場所さえわかれば」
セラウ「そうですか。ええと、この時間は込み合っており・・・・・・
    職員用でよろしければ空いていると思います。そちらに行かれますか?」
僕「はい、そうします。ありがとうございます」

僕らは二人、総合舎の地下に向かっていった。



――――――――謁見の間にて―――――――――

アクデ「間違いございません。あの者は異世界からの旅人でございます。
    私の頭に浮かんだ群像、あれはこの世のものとは思えませぬ。
    あれらはまるで・・・・・・・・何か異質な、高速で動き回る欠片のようでした」

シルバ「・・・・・・・・そうか。アーシュは今どうしている?」
アクデ「部下に案内させています。直に案内したかったのですが、
    普段ならともかく、今回は少々調整できない件もございまして」

シルバ「先生には急な依頼で余裕も与えず、申し訳なく思っている。
    彼にはまだ、異世界のことで聞きたいこともあるが・・・・・。
    ところで先生、彼の不思議な体験の解明について、何か当てはあるか?」

アクデ「とりあえず、配下の指導者たちと会議を行うことを考えています。
    何か知る者がいれば・・・・・・歴史書・魔道書も調査してみましょう。

    あるいは国外の者たちに助けを求めるか・・・・・。その場合は陛下、
    近々我が国にサントハイム王国特使として訪れる、私の大恩ある友、
    クリフト殿に相談したいのですが。必要ならばアーシュ自身も紹介しましょう」

シルバ「大賢者クリフト殿か。・・・・・・・・我らは友好国同士。
    そなたらは厚い信頼関係の間柄。必ずや力になっていただけるであろう。
    今なら親書や伝書鳩も間に合うが、まずは、わが国で解決するよう、
    努力を惜しまぬことが礼儀というもの。


    我が名の下に勅命を下す!
    異世界からの旅人アーシュのため、異世界への帰還方法を探し出すべし!」

アクデ「はっ!」

――――――――内務大臣ダシュムの日記―――――――――

本日、かの者の正体が判明した。
執務室での仕事中、兵から伝令があったのだ。
今も信じがたいことだが、陛下のお察しのとおり、異世界からの来訪者だという。

私の判断はときに、慎重すぎるとの指摘もある。
内務大臣の仕事は、いや、立場が重くなればなるほど、
非情と温情は常に戦うこととなる。

子供の頃を含めると、私はこの国の4人の王を知っている。
どの王も、王たる資質を教育された指導者だ。
しかし、完全なる人間など教育だけでは生まれない。
対話と理解者が必要なのだ。

若く活気あふれる王を迎えることの難しさが、我が国にはある。
過去には補佐の立場を利用して、傀儡の王を作ろうとした者も居たそうだ。
だが、私の信念は揺るがない。
苦悩の王キングレオの信念。忘れてはならない。

アーシュの体験と同じようなことが、かつて世界のどこかであったかもしれない。
アクデン先生は、書物を紐解く意思があるようだ。

ならば私は、彼が目覚めたというミルウッドの森に目を向けたい。
彼の身に何があったのか、あそこはどんな場所なのか、調べなければ。
調査の兵の選出も要注意だ。遠方出身の兵士が集められるといいが。

甘き果実ミルムの実る森。
明日、陛下に森の探索を進言してみよう。



―――――――――――????―――――――――――――

それは、水面に落とされた葉の作り出す、小さな小さな波でした。

勇者の活躍により訪れた平安の世。
世界の人々、
いえ、
生きとし生けるもの全てはこのとき、
平安の終わりなど、
微塵も疑っていなかったのでございます。


アーシュ
HP 13/13
MP  0/0
<どうぐ>携帯(F099i) E:エリモスの服 革の靴

アクデン
HP277/277
MP154/154
<どうぐ>なし
<呪文>イオラ イオナズン べギラマ ベギラゴン ルカニ マヌーサ
    ベホイミ べホマ
<特技>なぎ払い まぶしい光 毒の息 激しい炎 しゃくねつ めいそう