修士◆B1E4/CxiTwの物語



【青海幻夢】 [3]

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いつからだろうか。
スタンシアラの城下町、アクアロッズ。その背後の山の監視施設に、
何やら見かけぬ顔が出入りし始めたという。そして、
知らぬ間に山の一部が鉄線で囲われていたのを、麓の住人が発見したという。

いつからだろうか。
大海に面した湾の一つに、王国の監視所と銘打つ施設が建設されたという。
母なる海を注視する兵士たちは昼夜を問わず立ち並び、
その様はさながら不夜城であるという。

いつからだろうか。
その監視所から少し離れた磯に面する崖に、小ぶりな監視所が建設されたという。
それ以後、崖の面する湾内は、入場が厳しく制限されたという。


――――――サントハイム 魔法学校 居住区内修道場―――――――

バル「ヒャダイン!」

居住区内の屋外練習場で、バル君は呪文をいくつも唱えている。
窓の向こうのその光景を横目に、僕は部屋の椅子に腰かけ、
膝の上に本を置き、詠唱の練習のため、頭の中にイメージを集中させている。
これはメラという、極めて簡単な小さい炎の呪文だ。

思えば僕は、一歩違えばただ時が過ぎ去るのを待つだけの、
ボーっとした、夢か現かわからない日々を過ごしていただろう。

例えば風邪を引いた日の早朝。
白む空を見て、普段の自分を正常な世界に留めているもの
それは日常の忙しさなのだと漠然と思い、横たわる体に夢の風を受け、
ああこれが自堕落というものの姿かと感じ取る。その、諦めに似た気持ち。

・・・・・・・・どうやらこの生活は、まだまだ続きそうだ。


・・・・・・・・・・・そして、ある者には緊迫した、
またある者には悠々とした31ヶ月が過ぎ去った。


アーシュ
HP 14/14
MP  1/1
<どうぐ>携帯(F900i) E:絹の服 トルナの靴 バンダナ