修士◆B1E4/CxiTwの物語



【大賢者】 [3]

?「魔法エネルギーの概念を持たない理論。斬新ですなぁ」
?「全てのエネルギーは保存されるという提案も、先進的だ」
?「問題は理論の普遍性だ。魔法力学を組み込めればよいのだが」
?「私は、熱の有無はエネルギー量の変化、という概念に驚きます。
  知性体は万物の尺度である、とはよく言ったものですが、――――――」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

喧騒は未だ収まらず。
僕はたまらず、自分の椅子に腰を下ろす。

直後、どこからか軽やかな鐘の音が聞こえてくる。鐘の音が鳴り止むと、
僕の一番近くに座る、自然科学課程の総合担任、座長のバーズ先生が立ち上がる。

バーズ「えー、皆さん。本日は大変有意義な時間を過ごせたと思います。
    もうお時間ですし、まぁ皆さん、この後ご予定もあるでしょう。
    また次回、彼の発表を聞きにくるということで。

    アーシュさん、いやー、今日は本当にありがとうございました。
    久しぶりに、何も知らない自分に出会えましたよ。
    今後も、短めで結構です、お願いできますか?」
僕「あ、はい」

バーズ「ではアーシュさん、後日、簡単で結構です。
    書式は任せますから、本日の内容を文書で提出してもらえますか?
    なるべく急ぎで。ほんの2、3部で結構です」
僕「え・・・・・はい。わかりました」

もちろん手書きですよね。




そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・後日。





両側を見物人で埋め尽くされた大通りの中。
青・緑・黄・白、鮮やかな衣装を身に纏うサントハイムの一行が、
動物を駆使し、人の歩みを少々超えた速さで行進する。

一行の真ん中、一際大きな動物イャーヌの背には、豪華な天蓋が見え・・・・・・・・・。

一行は入口から途切れることなく続き、いよいよ王宮に迫ってくる。
非野蛮な騒々しさを作り出す見物人の、密集した顔・顔・顔。
それがあの大きなイャーヌの進行に合わせ、まるでドミノ倒しのように動く。
空の目で見れば、小さな粒々が揺れ動いているように思われるだろう・・・・・。

いよいよ一行の先頭が、開け放たれた城の大扉の前に着くと、
彼らは横に散開し、後続が先頭に着くと、彼らも続々と散開し始め・・・・・
人々は、あの絢爛(けんらん)豪華な一頭が、
扉の前で止まるのを、今か今かと待ち・・・・・


全体が止まり

そこから、緑の神々しい衣装を身に纏った、
若き日の精悍(せいかん)さを彷彿とさせる面長の顔立ちの、
白髪の老人が降り立つ。


大扉の両端から行列に向かって並び立つ、何十人もの宮廷騎士の列の間、
その中央にて待機していた上級兵が頭を垂れ跪き、
老人と後ろに従う従者の者達に対し、この世界における最上級の敬礼の意を示す。

そして一行は、格調高く歩を進める上級兵を先頭に、
1階の中央庭園を闊歩(かっぽ)し・・・・
2階の階段室にて、最敬礼で迎える階段の衛兵の横を通過し・・・―――――――




―――――――僕の目線の先、勲章を肩に携えた兵士を先頭に、
緑の服の老人と、老人の従者らしき四人が、謁見の間に現れる。
そこから、先頭の兵士だけが、王様の前へ進み出て、
これ以上張れないほどに張られた胸を、いっそう硬くする。

?「サントハイム王国王立魔法学校、ユネストロ・ユカローテの学長にして、
  偉大なる賢者の称号を冠する、
  クリフト=サルムント猊(げい)下の、御成りにございます」


厳格で悠々とした宣言の後、勲章の兵士は、
赤絨毯で向かい合う兵士隊の、最前列に加わる。
それを見届け、後続に控えていた五人が歩き出す。


あの人が・・・・・・・・・大賢者クリフト。

僕は目を奪われてしまっていた。
僕の目線は、前方へ歩を進める彼を迎える、斜めの位置。

ふと、こちらに向く老人の視線が、僕のそれと重なる。
それは、必然性など感じられない、ただの出来事であり、
一瞬の後、視線ははずれ・・・・・・・・・


老人は止まった。

シルバ「此度もレオ王国に御来訪いただきましたこと、
    全国民の代表として、深い感謝の意を表明致します」
クリフ「こちらこそ、貴国より御誘いいただき、深く感謝致しております」





アーシュとクリフト。
後に歴史に名を刻む、二人の男が、このとき初めて出会いました。


アーシュ
HP 14/14
MP  0/0
<どうぐ>携帯(F900i) E:エリモスの服 ルテールの靴

クリフト
HP 716/716
MP 670/670
<どうぐ>E:学長のローブ
<呪文>ホイミ べホイミ べホマ ベホマラー ザオラル ザオリク ザオリーマ
    ベギラマ イオラ バギ バギマ バギクロス ザキ ザラキ ザラキーマ
    スカラ スクルト キアリー マホカンタ マホトーン マヌーサ フバーハ
<とくぎ>ゾンビ斬り なぎ払い マヒャド斬り いなずま斬り いてつくはどう