◆yeTK1cdmjoの物語
俺の名を言ってみろ[2]
キメラ達との交渉後、さすがに疲れたのでリムルダールの宿屋でダラダラしている。
ファミコン神拳の3人はどっか行った。
ベッドの上でゴロゴロしていたわけだがゴロゴロも飽きた。
かといって飲む気はないし。
寝るには早い時間だし……久々にDSでもするか。つうか、充電大丈夫か?
「なんだこりゃ?」
電源は入りっぱなしだった。
いつから入ってたんだ?と思うよりも先に、俺はDSの画面に目を奪われていた。
上画面には「もし目が覚めたら そこがDQ世界の宿屋だったら」と書かれていた。
左側にドラゴン、中央に「もし目が覚めたら そこがDQ世界の宿屋だったら」の文字、右側に人のシルエット。
この画像には見覚えがある。FF・ドラクエ板のスレのはずだ。どどどどういうこと?
下画面にはドラクエのコマンド画面が6分割されて表示されている。
ゲーム じゅもん
どうぐ そうび
つよさ きろく
「はなすコマンドは必須だろ!」
いや違う。ツッコミ入れてる場合じゃない。
とりあえず「ゲーム」を選んでみる。
ドラゴンクエストの序曲とともに上画面にドラクエ1のタイトル画面が表示される。ご丁寧にFC版だ。
下画面にはアレフガルド全域の地図。
光点が光っている場所と光っていない場所があるが、行ったことがあるか否かってことだろう。
ラダトーム、ガライ、マイラ、沼地の洞窟、リムルダールだけには光点が光っているがそれ以外は光点すらない。
試しにタッチペンでリムルダールをタッチしてみると、上画面のFC版のロゴが消えてリムルダールの地図と説明が表示される。
武器屋防具屋で売っている物の種類や値段、宿屋の値段……随分と親切な設計だなオイ。
……何か引き返せないようなヤバい感じがビンビンなんだけど、どうするべえか。
深く考えても仕方ないかということで続けて「じゅもん」を選択。ポチッとな。
俺が唱えることのできる呪文の一覧が下画面に表示。上画面は使用MPと呪文の説明。お約束と言えばお約束だ。
一つ気になるんだが、呪文のコマンドが存在する=DSLを使って呪文の使用もできる、でおk?
試したいのは山々だが、また宿屋の中でギラを発動させるわけにもいかないので自重しておこう。
ただでさえ宿屋の親父に断わられかけたんだ。 あの騒ぎのせいで。
続きましては「どうぐ」のコマンド。
上画面には選んだ道具の説明と個数。
下画面は二分割されていて、左側の一番上には俺の名前と俺が持っている道具の一覧。
右側一番上には「ふくろ」と書かれていて、道具欄には何も入っていない。
……ペンでドラッグ可能だよな。
消えても嫌なので、とりあえずタバコを移動させてみる。タバコなら消えても惜しくないし。
タバコを右にドラッグ――うおおおおおお!
手元にあったタバコが消えたあああああああああああああ!
こここ今度はタバコをひひひ左にドドドドラッグ――うぎゃああああああああ!いきなり手元に出たああああああ!!
KOEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!111!
すっかりお馴染みの「つよさ」は俺の強さが表示。
FC版のステータスの他にかっこよさとかも出るんだけど……俺ってこんなにダメだったか。イケメンじゃないとは知ってたけどさ。
んで、「きろく」だが。これが実にシンプルに怖い。
上画面に『これまでの冒険を 冒険の書に記録しますか?』と表示。勿論答えは「はい」か「いいえ」の二択。
この世界での死=現実世界での死、だとしたら記録すべきだろう。
しかし記録することによって俺はこの世界に繋ぎとめられるのかもしれない。
セーブすることでこの世界に縛られるのか、セーブしないことでやり直しがきかなくなるのか。
俺は、どちらを選べばいいんだ――
「ゆうていが対竜王のことで話があるそうだ。ゆうていの部屋に来てくれ」
「はいはい、今行く」
『ピッ』
「……おい、今聞き慣れた音しなかったか? Aボタンを押したような音」
「何のことかわからないが、お前のケイタイとかいうやつの音じゃないのか?」
「……先行っててくれ」
恐る恐るDSLの画面を見、混乱。その後にミヤ王への「はいはい」=「はい」だと理解。
そして俺は叫んだ。
俺「おまえ何やってるんだDSL――ッ!」
DSL「最高に『ハイ!』ってやつだアアアアアア!」
『冒険の書を記録しています 電源を切らないでください』
LV:11
HP:26/39 MP:27/27
E:炎の剣 E:Tシャツ+鎖かたびら E:皮の盾
呪文:ギラ ホイミ レミーラ ラリホー
特技:思い出す 舐めまわし 百裂舐め ぼけ つっこみ 雄叫び 口笛 寝る 穴掘り 急所突き マヒャド斬り
道具:携帯電話 網
DSL:聖水 100円ライター 臭い靴下 古びたトランクス アディダスのジャージ タバコ×7 鍵×18 曲がった釘×6
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