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レッドマン◆U3ytEr12Kgの物語

心の変化[3]
―――――3時間後
タケ「よう、ムーン。起きたか?」
ムーン「え、ええ・・・」
タケ「しんどそうやったから簡単なスープ作ったからもって来たで。味は保障できんがな。熱いからふーふーするんやで」
ムーン「こんなものいらないわよ!!」

ガシャン!!

タケ「あーっ!お前何すんねん!」
ムーン「誰もスープなんか頼んでいないのだわ!」
タケ「ムーン・・・」

パァン!!

ムーン「い、いきなり何するのよ!!誰にも殴られたことないのに!」
タケ「食べ物がもったいない!」
ムーン「・・・・・・えっ?」
タケ「しかもお前はロクに飯とってないやろが。飯を食べなきゃ体調も悪いやろ。スープが一番喉に通りやすいんよ。もう一度持ってくるわ。待ってろ」

ムーン「・・・ひっく・・・ひっく・・・うぇぇぇぇぇん・・・」

タケ「お、おい!どないしたんや!?大丈夫か?」
ムーン「だ・・・だって・・・何でそんなに優しくしてくれるの・・・?
    タケに対して冷たくしたのに・・・ひっく・・・」
タケ「んー・・・あんまり気にすんな。とりあえずスープ飲んで落ち着け。な!」
ムーン「うん・・・」

この変化には流石に俺もびっくりした。とりあえず早くスープを持っていく事にするか。

タケ「持ってきたどー。自分で飲めるか?」
ムーン「(ぶんぶん)」
タケ「そっか。もう少し後にするか?」
ムーン「ううん。あ、あのね・・・タケ」
タケ「どしたん?」
ムーン「し、しんどいから飲ませて欲しい」
タケ「ん?ああ。わ、わかった。はい、ムーン。あーん・・・味はどうや?」

ムーン「・・・おいしい」

タケ「そ、そりゃー良かったわ。男冥利につくで」
ムーン「タケ、聞きたい事があるの」
タケ「どうしたん?」
ムーン「その・・・上手くは言えないけど、どうして自己犠牲をしてまで私やもょもと達を助けてくれたの?」
タケ「あんまり答えたくねいけど・・・答えんとアカン?」
ムーン「(コクリ)」
タケ「やっぱそんなん言えへんわ。かなり私情が入ってるしさ」
ムーン「だめ・・・?」

ムーンが悲しそうな目で見つめてきた。流石にノーとは言えない雰囲気だ。

タケ「しゃ、しゃーないのう。今から話す事は絶対に誰にも話さず秘密にしてくれるんならええで」
ムーン「本当!?」

タケ「ああ。じゃあ話すで。結論から言うともょ、いやもょもとは俺にとって可愛い弟なんよ」
ムーン「ど、どういう事なの?」

タケ「俺がチビの時やけどさ、元の世界にいるかーちゃんが妊娠したんよ。その時ごっつぅ喜んだのを覚えているわ。僕がお兄ちゃんになるんだ!って。けどその喜びも4ヵ月後には辛い現実になんたんや」

ムーン「辛い現実って・・・まさか?」
タケ「そう、流産したんよ。かーちゃんは何とか生き延びたけど妊娠した赤ちゃんは死んじまった・・・」
ムーン「そんな・・・・・」

タケ「流石にその現実をガキの頃は受け入れるのが出来なかった。ある時学校の先生が言ってくれたんよ。『くよくよしてはだめ。あなたはお兄ちゃんだからしっかりしないと。天国の赤ちゃんは死んだんじゃなくあなたをの心と共に生きているの。だから悲しむことはないよ。』ってさ」 
ムーン「・・・・・」
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