暇潰し◆ODmtHj3GLQの物語
〜Jacob's Dreame〜[2-17]
フォルテとの初めての出会いは、彼女の歌声から始まった。
友達とかくれんぼしてた時、いつもより遠く逃げ込んだ森の奥。
「〜〜♪」
不意に聞こえてきた楽しそうなメロディ。
彼女の世界に一瞬にして引き込まれてしまった。
ただそれだけで、好きだと思ってしまった。
「キャッ!」
無遠慮に近づオレに気が付くと、彼女は岩影に体を隠した。
怖がらせてしまったと瞬時に後悔したが、
どうすればいいのかも分からなかった。
「あのあの……」
恐る恐るといった感じでひょっこりと頭だけを出す彼女。
その可愛さに顔が赤くなり、心臓が跳ねた。
「歌……どうだった?」
声に出して答えられなくて、何度も必死に頷いた。
フォルテの笑顔がまぶしかった。
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