暇潰し◆ODmtHj3GLQの物語
〜Jacob's Dreame〜[2-7]
「レキウス。何ぼーっとしてんだ?」
振り返ると2人の男女。
魔法使いと僧侶だ。
格好で分かる。
「もうすぐ着くはずだ。そいつでしっかり頼むぜ」
俺の右腕を指しながら言うので見てみると、鉄の爪を装備していた。
あぁ、これは私のだ。
でもこの2人は誰?
今度は僧侶の方が声をかけてくる。
「頑張ってね」
瞬間、心が揺れた。
女性の微笑みで更に嬉しくなる。
嬉しい?
あぁ、これは恋だ。
この人はあの人が好きなんだ。
その事を自覚すると、心は急反転し、落ちていった。
何? なに?
「パトリスもね」
「マリアもな」
2人が互いに笑みを交わす。
それを見るのが凄く嫌だ。
心が痛い。
その様子は好きな者同士の仕草だ。
そっか〜、2人は付き合ってるのかな?
え? パトリス?
たまらず私は駆け出した。
2人を追い抜いたところでモンスターが。
俺はいつものように2人からのプレゼントでそれを切り裂いた。
そして2人の仲も切り裂けないかと思案した。
けどそんな自分は嫌いだった。
俺は、どうしようもない人間だな。
私は涙を流す。
その涙を鉄の爪の甲で拭ったところで、世界は終わりを告げた。
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