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暇潰し◆ODmtHj3GLQの物語

〜Jacob's Dreame〜[2-3]
「私は全てを照らす太陽になりたいの」

そう言ったお前の横顔は、優しさや慈悲といったものに溢れていた。
だからこそ、そこに儚さと脆さを感ぜずにはいられなかった。
そんな自分は彼女の側にいる資格は無いのだと客観視する一方で、
ますますお前に惹かれる自分にも気付かされる。

お前は愛だった。
愛そのものだった。
自分はもちろん、この世界の存在するもの全てがその愛に照らされて
生きていられるのだと本気で思った事もある。

だから…
だからその愛全てを自分のものにしてしまいたかった。

若かった自分を責める事はいくらでも出来る。
しかし過ぎ去った時間を取り戻す事は出来ない。
懺悔の為に天に手をかざすと、お前に貰った指輪の宝石が光を放ち、
空へと上っていった。

その後には、残ったものが自分の全てになった。
それは暗闇の中で必死に生きようとするマリアの形見の星の光だった。
その光に照らされて、この世界は終わる。
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