[] [] [INDEX] ▼DOWN

暇潰し◆ODmtHj3GLQの物語

〜Jacob's Dreame〜[2-0]
「お前の守りたいものは何だ?」

兄貴のその口グセを思い出す度に、その剣の重さに沈んでしまいそうになる。
両足に力を入れ、膝を掴んで踏ん張り、めいいっぱい叫ぶ。

「兄貴がそれを守って何になった!!」

それを聞いた兄貴は、男の俺が見とれてしまう程に、それはもう誇らしげに笑う。
そして手を頭の高さくらいに挙げ、俺にサヨナラの合図を送る。
背後の月の光に向かって歩いて行こうとする兄貴。
そこまで行かなくてはいけない衝動に駆られる。
が、剣が枷となり前に進む事が出来ない。
どんどんと重たくなるそれを捨ててしまおうと柄に手をかけ、
鞘から引き抜くと、キレイな刀身がキラキラと輝きを放っていた。
何と心が癒される光だろうか。
その光の奥に誰かがいる……
顔は分からないが、笑いかけられているようだ。
何…?
何を…
何を伝えたい……
やがて剣の輝きが月光と合わさり、全てを包み込んでこの世界は終わる。
[] [] [INDEX] ▲TOP

©2006-AQUA SYSTEM-