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暇潰し◆ODmtHj3GLQの物語

〜Jacob's Dreame〜[1-3]
「愛しているよ」

それが私の父親の記憶。

「幸せになってね」

それが私の母親の記憶。
けれどその声はとてもあいまいで、男の声なのか女の声なのか分からない。
だからリフレインされるその声が本当に心の底から発せられたものなのかどうか、
私はいつも判断できない。
だから私と私を産んだ者達を繋ぐ唯一の言葉達は私を苦しめる。

愛しているのならどうして私から離れるの?
私の側にいてくれなかったのに幸せを願う権利なんかあるの?

私の思考がそこにたどり着くと、その二つの声は次第に遠ざかって行く。
そして私はこの世界で1人ぼっちになってしまう。
そこで私は、私の光を求めて走る。
走る。
走る。
走る…
走る……
その内、何の為に走っていたのか分からなくなる。
そして私自身の存在意義を疑問に思ったところで、この世界は終わる。
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