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総長◆Lh6WfP8CZUの物語

俺と凶器[1]
体が宙に浮いたかと思うと目まぐるしく景色が変わり次の瞬間にはもう町の前に立っていた。
相変わらずすげー呪文だぜ。で、ここで何をするんだ?とねーちゃんに尋ねる。

ここにもオーブがあるわ。王様が保管しているてお父様が言っていたわ。
それとここの酒場の倉庫にはお父様達が旅をした際に使った武器や防具、道具がたくさん残ってるらしいの。
今後旅はさらに熾烈を極めるだろうから必要なものは自由に持って行きなさいだって。

なるほど。まあイケにしては気が利くじゃねーか。そういえば俺今丸腰だしな。
長年の相棒はやまたのおろちと戦った時に昇天したし。確かに武器がいる。
そうして俺達は酒場に向かった。道中勇者が口を開いた。

ねえ!今日はあたしんちにみんなで泊まってよ!わたし先に行ってお母さんにみんなが来るって
話してくる!ルイーダさんの店のすぐ近くだからそれだけ伝えたらわたしもすぐ行くから!

そう言って勇者は走って行ってしまった。
しっかし嬉しそうだったな。勇者って言っても16のガキだもんな。
この町にはしばらく滞在しててもいいだろう。そう頻繁には帰ってこれないだろうしな。

そうしているうちに俺達は酒場に着いた。
ほうほうここが噂に名高いルイーダの酒場ですか…おっさんが得意気にこの酒場に関する薀蓄を話し出す。
無視して中に入る。そういやピエロが仲間に加わったのもここだったよな。
懐かしいな。そうそうあのテーブルの所に見るからに怪しいピエロの格好をした大男が……っておいッ!!!!

そこにはまたしてもピエロがいた。
こっちに気付くと嬉しそうに駆け寄ってくる。
てめーはこんな所で何をしてるんだ!!!!とっとと城に帰れ!!!!!!
と怒鳴りつける。しかしピエロ曰く自分がいないとここに預けてある荷物持ってけないぞとの事だ。
たしかに俺達が預けたわけじゃないし勝手に持っていってしまってはそれはもうただの泥棒だ。
だから賢者に言われて来たのだと偉そうにするピエロ。まあ別にかまわんがあの大臣心労で死ぬぞそのうち。

ピエロがカウンターで話をしてそのまま裏の倉庫へ案内してもらった。
中に入る。これは…すげえ。

そこには所狭しと大小様々な武器や防具、なんだかよくわからない道具が並んでいた。
どれでも好きなもんを持っていっていいとの事なのでみんな片っ端から物色している。
俺はというと当然武器がいる。繰り返すが相棒のドラゴンキラーは折れてしまった。今後やまたのおろちクラスの敵とはまた対峙する事になるかもしれない。魔王なんてさらに強烈な化け物だろう。
そいつらとやりあうには確実にドラゴンキラー以上の武器が必要なのだ。

………………。
ダメだ。そこそこよさそうなものはあるのだが今一つこう心にグッとくるものには出会えない。

…………?
その時一際異彩を放つ剣を発見した。いや異彩なんて生易しいものではない。
凄まじく禍々しい。そして恐ろしく破壊力がありそうだ。
思わず手を伸ばす。遠くで見ていたピエロとねーちゃんが叫ぶ。

いかん!いかんぞ!!!
ダメ!!!!!その剣を触ってはダメよッ!!!!!

…え…

そんな事言われてももう俺は完全に剣の柄を握ってしまっている。
血相を変えてピエロとねーちゃんが駆け寄ってきた。

マズいわ…よりによってこんな剣を…
…シャナクは使えるかね…
ごめんなさい使えないの…一刻も早く教会で…

何やらヒソヒソ話をしている。何なんだ?なーんか胸糞悪いなチクショウ。
そんなこの剣マズイのか?せっかく強そうだったのに。
俺は無造作に剣を元の場所に戻した。

!!!!!!!!!?????????

ねーちゃんとピエロが目を丸くしている。だからさっきからなんなんだよ!!!!
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