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総長◆Lh6WfP8CZUの物語

新たなる仲間!……。[1]
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………。
…ん……。


目を覚ました。俺の名はリュウジ。泣く子も黙る史上最大・最強・最高の暴走族“鬼浜爆走愚連隊”の総長を務めていた男だ。まあ昔の話だ。今はただ酒びたりのひきこもりだ。
生きていても死んでいても関係ない無気力な毎日。

…………あっ!やっと目覚ましたよ!もう総長ちゃんの寝ぼすけ!

ぞおおおうぅぅううじょぉおおおおおおおおおおういうううう!!!!!!!

甲高い女の声と同時に筋肉ダルマの熊みたいなパンツ男が抱きついてきた。…痛てえ。
痛てえっつの!
俺はパンツ男を3メートル程吹っ飛ばすとその見るからに怪しい風貌の男は天井にめり込んだまま沈黙した。

それだけ元気があればもう大丈夫ね。

やたら美人のねーちゃんが口を開く。

…………そうだった。俺はベランダで足を滑らせて気づいたらこの謎の世界に迷い込んだんだった。

ぞううじょうううぅういぎでででよがっだでびゃんずううぅううう

パンツが号泣している。相変わらず頑丈だなコイツ。しかし俺は何故気を失っていたのであろうか。
………思い出した。オーブを求めて洞窟に入り、ちょっとした手違いで洞窟をぶっ壊してしまった。
崩壊していく洞窟の中で記憶が途切れている。あの後どうなったのだろうか。

うんとね、おっきい地震が起こって心配だからあたしとおねーちゃんとで洞窟に助けに入ったの!
そこで総長ちゃんとカンダタちゃん見つけて戻って来たんだよ!オーブもちゃんとだよ!

……オーブ……オーブ!?危ねえ危うく夢も野望も全て土の中に埋もれる所だったぜ。
しかしこの女二人が俺ら大男二人担いであの崩壊する洞窟を抜けてきたのか。こいつらわりとパワーあるじゃん。

まさか!そんなの無理だよーあのね、魔法で一発でポーンって出てきたの♪

なんてこった…そんな便利な呪文があるとは…てかそんな呪文使えるならおまえが行けや!

行くって言ったじゃん!総長ちゃんがじゃんけんでずるっこして勝手に行ったんでしょ!
それにほんとにギリギリだったんだから!もう!

ああ。そういやそんな事もあったな。ピーピーうるさい勇者を無視してベットを出る俺。
腹減った。なんか食い物ないかな。その辺の棚を漁る。何も無い。ちっ…しけたとこだな。
部屋を出る。玄関には変なおっさんが顔真っ白にして放心状態だった。おいおっさん腹減ったからなんか食いもんくれよ。おっさんは小声でブツブツ呟いている。わしの洞窟が…わしの使命が…
話しかけても素無視だ。大丈夫かコイツ。おっようやく俺の存在に気づいたようだ。
…と同時に近くにあった椅子で殴りかかってきた。おいやめろ!あぶねっつの!

おぬしさえ!おぬしさえ来なければわしの平穏な日常が!ぬおおおおおぉおおお!

反射的に体が反応してカウンターを入れてしまった。やべ。おっさん壁突き破って外まで吹き飛ぶ。
おい。大丈夫か。反応がない。騒ぎを聞きつけて人だかりが出来てきた。マズい。これはマズい。

ヒソヒソ…あいつあれだろ…勇者様御一行の…なんで一般人殴ってんだ…
ママー!しっ!見ちゃいけません!ヒソヒソ…

おまえら帰れ!見せもんじゃねーぞコラァ!ヒーこの子だけはどうかお助けを!なんてやり取りを
していると勇者たちが来た。あー!また総長ちゃん町の人いじめてる!違うこれには深い訳が…

ホイミ

ねーちゃんが魔法をかける。目を覚ますおっさん。

いやはやこれはこれは勇者様。取り乱してしまいしまんですな。

やっと落ち着きを取り戻したようだ。おっさんの家系は代々この「ちきゅうのへそ」という洞窟を守ってきた。しかしその洞窟は無くなってしまった。確かにちょっと悪い事したかもしれない。

わしは女房と子供のいる故郷に帰ります。ここ半年程帰ってなかったので。そこで農業でも始めますわ。ハッハッ八…

そうかこのおっさんも無職か。まあ無職も悪くは無いと慰める。勇者が申し訳なさそうに口を開く。

なんか…悪いことしちゃったね…ゴメンナサイ…

おっさんはいやいや気にしないで下され。それよりもお目当ての宝手に入ってよかったですなと言っているが確実に目は死んでいる。

あっそうだ!奥さんと子供ってどこに住んでるの?私たち送るよ!

また勇者が勝手な事言い出したが今回は仕方がないだろう。そのくらいはしてやる。

ノアールですじゃ。とんだ田舎で勇者様の旅の妨げになるだろうにわしの事は気にしないで下され。
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