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総長◆Lh6WfP8CZUの物語

試練そしてじゃんけん[1]
おっさん:ゴホッゴホッなっ…なんて乱暴な若者じゃ…こんな奴は初めてじゃまったく…
 いいか?ここは由緒正しい試練の洞窟でな。
 一人で攻略してこそ求めている物が得られるのじゃ。
 といってもそんな危険なとこ誰も探索するはずがなく今までは未知の空間じゃった。
 勇者様がおそらく歴史上初めて攻略されてオーブを持ち帰ったのじゃよ。
 それで次に必要な時が来るまでまたここに封印なされた。ただオーブを封印するだけの為に
 これだけ大掛かりなものが造られたとは思えん。きっとまだ謎が隠されておるかもな…

謎…ねーちゃんがピクッと反応した。とにかくそうなれば誰が行くのか決めなければならない。
ここは総長である俺が行くのが筋ってとこだろう。文句ないなおまえら。……明らかに不満顔だ。

勇:あたしも行きたい!お父さんも行った洞窟なんだし…絶対行きたい!
ね:謎…謎が私を呼んでるわ!未知…なんて素晴らしい響き!ここは譲れない!

おいおい…てかねーちゃんあんたそういうキャラだったんだな…さらに輪をかけて

パ:よくわかんないけどズルいでやんす!あっしも行きたいでやんす!仲間外れは嫌でやんす!

もうこうなると収拾がつかない。どーせこいつらは総長である俺の意見なんてきかないだろう。
いいんだわかってた事だから…俺がここのボス…自分でそう思ってたらいいんだ…
しかし絶対話し合いでは結論がでない。こいつらはそういう奴らだ。
ここは公平にじゃんけんで誰が行くか決めようじゃないか。

じゃんけん…!?何それ??

どうやらこの世界には「じゃんけん」はないらしい。ルールを説明する俺。
へー楽しそう!と勇者とねーちゃんはすぐ理解したようだ。パンツはまったく理解できてない。
とにかくグーかチョキかパーか何でもいいから出せと教えた。じゃあいくぞ。せーのー

じゃーんけーんポンッ!
………………。
やっちまった。おそらく考え得る中で最悪のパターンだ。

勝ったのは…パンツだった。

………。勇者は本気で悔しがっている。パンツは当然の如くわかってない。
ねーちゃんが勝ったのはあなたよと教えてやった。途端に大喜びするパンツ。
しかし勿論こいつには何のメリットもない。

やったでやんす!これでお宝は俺の物でやんす!

明らかに勘違いしている。もういい。こいつが無事にオーブを持ち帰って来るのを期待するしかない。
ここまでくると運の問題だ。直ぐにでも出発しようとするパンツを制止してありったけの薬草を持たせた。

勇:いいなぁ…お父さんに関係あるものあったら必ず持って帰ってきてね!
ね:いい?こんな手付かずの古代遺跡に入れる機会なんてそうそうないんだから
  気を引き締めて行ってくるのよ!この貴重な体験を噛み締めてきなさい!
俺:あの…その何だな…無理しなくていいからな…適当に頑張れ…

パンツは嬉しそうに頷くと意気揚々と行ってしまった。
入り口を守ってたおっさんがほんとのあいつでよかったのかと驚いている。いいわけねーだろバカ。
今更ジタバタしても仕方が無いのでここで大人しく待つ事にする。



丸一日が経った。パンツはまだ帰ってこない。



だからあいつに行かしたくなかったんだよチクショーが!
おっさんの話によると勇者の親父は半日ちょっとで帰ってきたらしい。
つまり明らかに中で迷っている。
という事で第二陣が出発する事になった。問題は誰が行くかだ。
とりあえず勇者だけはマズい。パンツの救出に勇者が行くなんて火に油を注ぐようなもんだ。
確実にミイラ取りがミイラになる。今回に限ってはねーちゃんもヤバい。テンションがおかしすぎる。
遺跡に夢中になりすぎてパンツの事を忘れて帰ってくる可能性が高い。

やはり…俺が行くしかない。
しかし選出方法はじゃんけんじゃきゃこいつらは納得しないだろう。
そうなると俺が勝つ保障は無い。さてどうしたものか。

はやくじゃんけんで決めよーよーカンダタちゃんお腹空かせて待ってると思うよー?
勇者が急かす。うるせーちょっと待ってろ今秘策を考案中だ。

……こうなったら最終手段を使うしかない。これだけは避けたかったのだが。

わかったいくぞ!せーのー!じゃーんけーん…ぽんっ!   …今だ!

勇&ね:…………………!!!!????

勝った。俗に言う「後出し」というやつだ。勇者が騒ぎ出す。
うるさい。世の中勝ったやつの勝ちなのだ。
反発する二人を無理やり丸め込み何とか次の挑戦者は俺になった。
目的はオーブ発見&パンツ救出。ちくしょう最初から俺が行けてればこんなめんどくさい事には…
やり場の無い怒りを覚えつつ俺は出発した。
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