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総長◆Lh6WfP8CZUの物語

顔がいい奴が憎い[1]
俺がまさに胸倉を掴もうとした瞬間みんなの視線に気づいた。
みんな揃ってイケメンを指さしている。
俺は5秒ほど考えた。そしてある一つの結論に至った。

…こいつが賢者なんすか?…

あり得ない。…絶対あり得ない。こいつが300歳とかあり得ねえ!!!!

一応確認する。
おいおまえが賢者なのか!?イケメンはニヤニヤしながら頷く。
こいつ賢者だか何だか知らないがムカツク…何だこの人を小馬鹿しにた態度は!?
勇者が駆け寄ってきイケメンに話かけた。

長くなりそうなんでテーブルを囲み茶でもシバキながら話す事になった。
そしてその話の中で俺は心臓止まるくらい驚いた。いやマジで。

まず何よりも一番ビビッた事。
このイケメンとうの昔に死んでるらしい。俗に言う「幽霊」というやつだ。
元々はすげー魔法使いで寿命を迎え死ぬ時にこの世界の神様(例の精霊ルビスと言う奴だ)から精霊となり世界に危機が訪れる度にその危機を救うという使命を与えられたとの事だ。

なんてスケールのでかい野郎だ。
だが前回の戦いで力の大部分を使い果たしたため今は魔力の込められたこの塔周辺でしか自分を保てないらしい。幽霊も色々大変だな。
そしてこの女(よくみるとかなり美人。しかも年上。俺の好み180%超)はイケメンの娘だとのこと。 
といっても実の娘ではなく、前の戦争の孤児で賢者が引き取って育てたようだ。
魔物に襲われたショックで視力を失ったがイケメンとの修行で「心眼」を会得して、今では世界有数の「僧侶」らしい。やはりこの女も只者ではなかった。

その後もここに俺達が来ることは予言で知ってたとかごちゃごちゃ言ってた。
まあ俺はあんま真剣に聞いてなかった。はいはいイケが何か難しい事言ってますよ。

そして最後に一言。私はもうついて行けないのでかわりにうちの娘を……

!!!????

うちの娘を連れて行って欲しい。我が娘であり愛弟子だ。きっと役に立つ。

……つまりて事はこのきれいなねーちゃんも参加すんのかよ!?イケメングッジョブ!

ようやく…ようやく鬼浜にまともな面子が追加されそうだ。しかも美人。やったぜ。

その夜はささやかな宴会が開かれた。
イケメンがつけたとかいうワインが出された。味はいいのだがやはりムカつく。
きまって顔がいい奴はワインに詳しかったりするんだよな。
ねーちゃんはわりと飲めるクチのようだ。勇者はヘラヘラしてる。
久しぶりのアルコールだ。がぶ飲みする俺。お約束通り意識が飛ぶ。


―次の日―

頭は痛いが爽やかな朝だ。
さて新メンバーも加わったとこで楽しく出発するか。俺はベットから降りて下に向かう。
もう勇者とねーちゃん旅の準備を済ませ待っていた。

じゃあ行ってくるね!総長ちゃんもカンダタちゃんも賢者様の言う事聞いてしっかり修行するんだよ!

……???????
状況がまったく飲み込めない。あっ行っちまった。どういう事だ。
呆気にとられてる俺を見てイケが口を開いた。

…俺が酔いつぶれてる間に話は進んでたらしい…

まとめると
・勇者とねーちゃんは引き続きオーブを探す旅に出る。
・俺とパンツはここで修行する。

ということだ。ちょっと待て。何が悲しくて男三人で山篭りしなければいけないのだ。俺も後を追うぞ。
追いかけようとする俺にむかってイケがボソッと呟いた。…マダンテ。 マダンテ!?
このイケなんとマダンテが使えるらしい。
ちゃんと修行をこなせば俺にも使えるようにしてくれるという。俺は悩んだ。
やはり世界征服及び魔王をボコるために強力な魔法は必要だ。
俺ほどの才能があればすぐに覚えれるだろう。とっとと済ませて後を追うか。
ということで俺とパンツはここで修行する事にした。

そこから俺とパンツの苦悩の日々が始まるとはこの時は知る由も無かった。
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