[] [] [INDEX] ▼DOWN

総長◆Lh6WfP8CZUの物語

私の名は勇者[2]
―次の日―

朝食にはおなじみの野菜屑のスープが出た。それをたいらげると早速出発する事にした。

ロマリアに向かう道中勇者とピエロが勇者の親父の冒険について話していた。
ざっとまとめるとこういう事だ。

昔バラモスという輩が人間を滅ぼそうとした
当時16歳の勇者の親父はロマリアの王子(現ピエロ)、世界でも有数の魔法使い(故じいさん)、それと「賢者」と呼ばれる何だか凄いヤツと旅に出て、長い冒険の末ついにバラモスを倒した。

世界に平和が訪れた。

そこから月日は流れ、現勇者が生まれた。誰しもがこの平和な日々に何の疑問も抱かなかった。
しかし危機は着々と迫っていた。魔物の活動がまた徐々に活発となる。
魔物は頻繁に「我が主」という言葉を口にする。
数年前、魔王の復活を直感した親父は単身旅に出た。そしてその後消息を絶つ。

大体こんな感じだ。それでじいさんもバカ王も旅に出るチャンスを伺ってたらしい。
なるほど。そのバラモスて奴が実は生きていて今また力をつけて暴れてるのか。
倒すべき敵の名前も判明した。バラモス…首洗って待っとけよ…

そうして俺達はロマリアに到着した。黄色いオーブを受け取る。
バカ王は大臣に物凄い勢いで説教されていた。どうやら勝手に旅立ったらしい。
なんて無責任な王なんだ。国民の今後が心配だ。そもそも何でこいつは王になれたんだ。
そんな事考えつつも俺は武器屋に向かった。

あった。

前回は貧乏極まりない為買えなかったドラゴンキラー。今ならギリギリ買える。おい店長これくれ。

断られる。

は?客寄せの為に一本だけ仕入れたモンだから実際に売る気はないだと!ふざけんな!!!

俺:ふざけんな!売れ!今すぐ売れ!
店:すみません無理です。
パ:売れ!あっしは大盗賊改め鬼浜の特隊カンダタでやんす!売れでやんす!
店:無理なもんは無理です。
勇:お願いします!私達の旅にどうしても必要なんです!
店:いいよ。

!!!!!!!!!!!!

何故だ!?店長を問い詰める。店長は言う。だってかわいいんだもん。
その後俺とパンツに袋叩きにされたのは言うまでもない。
その後の商談により俺達は店側の好意で500ゴールドでドラゴンキラーを手に入れた。
うむ。なかなかよい買い物だ。


こうして新しい相棒も手に入れ大満足の俺は一同東へ。目指すはイシスだ。
バカ王にオーブのついでに世界地図も貰った。
これで行き当たりばったりの冒険をする必要もなくなったようだ。
しかしこの勇者、筋肉ダルマのピエロ、火力抜群のじいさんの穴を埋めるのはキツイだろう。
ここからは苦しい旅になりそうだ。
気合を入れ直す。魔王にたどり着く前にくたばっちまうわけにはいかなからな。


取り越し苦労だった。

この女べらぼうに強い。

まず剣だ。筋力こそ欠けるものの抜群にスピードが速い。
俺は達人でも何でもないので素人じみた感想になるが、太刀筋が「活きて」いる。
おそらく血の滲むような努力とともに天性の才能もあるのだろう。
次に魔法。数種類の攻撃魔法を使いこなす。
だが何より驚いたのはこいつやくそうなのだ。やくそう魔法が使えるのだ。
ホイミ。それは優しい光と共に瞬時に傷を癒す。

もうやくそう買わなくていいじゃん。いいなそれ。おし俺にもその魔法教えろ。
勇者曰く、この魔法は「怪我をする前の姿」をイメージし、
傷口に手をかざしその姿と今の姿を一致させる事によりそれを実現させるようだ。

簡単そうだ。試してみる。誰も怪我してないのでとりあえずパンツぶん殴る。

ホイミ。

メラの件もあるので少し控えめに言ってみた。当然の如く何も起こらない。
パンツはくすぐったいと笑っている。

…まあこれはボチボチ練習してくか。俺に使えない魔法なんてあるわけいいんだから。最強且つ至高の天才の俺様に。
[] [] [INDEX] ▲TOP

©2008-AQUA SYSTEM-