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総長◆Lh6WfP8CZUの物語

パンツと呼ばないで
―次の日―

このバカ王はまたまたとんでもない事を言い出した。
は?自分も久々に旅がしたいから代わりに王にならないかだと?こいつラリッてんのか?
……目が笑ってない。本気だ。俺は旅の目的があるのでと断った。
バカ王はそれなら今度こそこのじいさんを連れて行けと言う。
俺はそれも断ろうとした。だがじいさんを連れてく事がカンダタ釈放の条件だと言いやがる。
なるほどさすがに監視役もいないまま犯罪者を野放しにできないというわけか。俺はしぶしぶ了承した。
こうして不本意ながら新鬼浜爆走愚連隊(以下略して鬼浜)に新たな構成員が増えた。
現メンバーは

総長:俺
特攻隊長:カンダタ
構成員:じいさん、子分A,B,C

……非常に頭の痛くなるメンバーだ…硬派にも武闘派にも程遠い…
俺はこの世界に来て初めて自分のやってる事が不安になった…だが今はもう前に進むしかない。
バカ王は報酬として10000Gもくれやがった。やはりバカだ。

その夜、記念すべき第一回鬼浜会議が開かれた。議題は次の目的地についてである。
俺的には早く勇者に会ってどんな輩か確かめたい。じいさんに勇者について何か知らないか聞いてみた。
知っていたのは勇者の故郷はアリアハンという町であるという事だけだった。
一方カンダタにも何か情報がないか聞いてみる。明日の朝は目玉焼きがいいそうだ。
こいつもう今後一切の発言権は無い。とにかく明日から勇者の足取りを順に追ってみようと思う。
今日はもう遅いので宿で一泊する事にした。

次の朝出発の挨拶をしにバカ王の所に行く。まだ王にならんかとか言ってやがる。しつけえ。
アリアハンへ行くと伝えると船をだしてくれるようだ。貸切で。VIP待遇じゃん。
バカ王もたまにはやるな。
そうして船に乗り込んだ一行はアリアハンを目指した。道中暇なのでじいさんに魔法を習う。
どうやら俺には「リアルにイメージする力」が足りないらしい。
じいさんは松明や焚き火ではなく、もっと攻撃的な炎を頭の中に思い描けと言う。

攻撃的な炎…

そういや昔抗争中の族にひとし君の単車のオイルタンクに穴開けられて、気づかずに乗って引火して炎の塊になって爆走した事あったっけな。よく生きてたなあいつ。
そんな事をぼんやり考えながら俺は手のひらを構えメラッと叫んだ。

出た。

炎の塊が船のマストを直撃する。燃えるマスト。じいさん慌てて手から氷の塊を発射し消化する。
じいさんとカンダタと船長が物凄い勢いで詰め寄ってきた。船を沈める気かと叫んでいる。
しかし俺にはそんな声まったく届いてなかった。出来たのだ。俺にも魔法が使えたのだ。
そこから二日後アリアハンにつくまで俺はひたすら練習を重ねた。徐々に火の玉も大きくなる。
俺は天才かもしれない。自分で自分の才能が怖いぜ。
しかしじいさんはそのくらいの魔法ならガキの頃にもうできたわいと言ってきた。黙れ。目の上のタンコブが。

アリアハンに到着する。

なかなかきれいな町並みだ。じいさんは王様に挨拶に行った。
おまえも来いと言われたが堅苦しいのはいやなんで一人でぶらつく事にした。
カンダタは腹が減ったとうるさいので50ゴールド渡してどっかやった。

きれいな町並みだがシケた所だった。強い武器もない。きれいなねーちゃんもいない。典型的な田舎町だ。
こうなったら昼真っから酒でも飲んでやろうかいと酒場に入る。町の規模にしちゃかなり大きな酒場だ。
そこは酒場兼人材派遣センターのような所らしい。冒険に出る人が有志を募れるシステムだ。
年齢や職業や性別を指定すると合致した人と出会える…え?これって出会い系サイトと同じじゃないか?
もしかして表向きは「冒険者の集まる酒場」だがほんとはただの出会い系酒場なんじゃないのか?

とりあえず俺も利用してみる事にする。

と、その時だ。奇抜なピエロの格好をしたかなり大柄な男に声を掛けられる。
どうやら仲間にして欲しいらしい。
腕には自信があるそうだが俺はこれ以上色モノが増えても敵わないので丁重にお断りした。
ジーッと見つめてくる。こっち見んな気持ち悪い。クソが。俺は仕方なく酒場を後にし城に向かった。

城に入り王の間まで行く。じいさんが王様と親しげに話している。しかしこのじいさん侮れない。
各国の王とここまで親しいじいさんは他にいるだろうか。食えないジジイだ。
その後王様と話し、勇者は北に向かったと聞く。北か。今出来ることは追う事だけだ。
この町にこれ以上いる必要もないと思い早速出発する。あっカンダタ忘れてた。
町中探し回ると結局さっきの酒場の中にいた。となりにはあのデカピエロがいる。
二人で酒を飲み意気投合しているようだ。バカ同士気が合うのだろう。

…嫌な予感がする…

案の定カンダタはこいつも連れてけと言う。じいさんはなぜかニヤニヤしている。
はいはい。もうわかりましたよ。好きにしてくれ。という事でまた一人舎弟が増えた。
見るからに怪しいピエロの大男。服装が服装だが相当なマッチョだ。
ん?この目どこかで見たことがあるような…いやいや俺にはこんな変態の知り合いはいないはずだ。

さて、町を出て北に向かう。振り返る。後ろにはヨボヨボじいさん、覆面パンツ男、ピエロの大男…
これから世界征服を狙う組織とはとても思えない。これは酷い。次はまともな舎弟を入れなくては…

しかし戦闘は楽になった。実際このピエロ男がバカ強い。大体の流れはこうだ。
まず敵を見つけるや否や俺、パンツ、ピエロが突撃して袋にする。それでも仕留め切れない場合、
後方からじいさんが炎なり何なりだしてTHE ENDだ。
魔物共も俺達の異様さとその強さに逃げ出す事も少なくない。
むしろ魔物の群れなんかより俺らの方が全然柄悪い。

特に強い魔物も出て来ず暇なので鬼浜軍事訓練を行いながら進む事にした。
軍事訓練と言っても要は俺がパンツ、ピエロとど突き合いながら進むのだ。
これがまたしんどい。この二人その辺の魔物より遥かに強い。
しかし俺も総長としてのプライドがあるため負けるわけにはいかない。
次の町に着いた時は三人とも血だらけのボコボコだった。
みんなやくそうをアホほど買って全身に塗りたくる。
その日は疲れたので宿で一泊した。
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