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総長◆Lh6WfP8CZUの物語

総長[5]
例のごとく気づいたらベットの上だった。

とんでもなく頭が痛い。今日は一日中寝てようと決めた矢先ジジイが勢いよく部屋に飛び込んで来た。
うるせー殺すぞジジイ!あっ?これから会わせたい人がいるからすぐ準備しろだ?
知るかボケ!俺は二日酔いで死にそうなんだよ!寝かしとけや!
しかしどうやら相手はかなり金持ちらしくしかも飯を食わせてくれるらしい。
金持ち=肉。俺はすぐに準備を始めた。 

準備ができジジイの所に行く。外へでてジジイが羽のようなものを放り投げた。

その瞬間信じられない事が起こった。

体が宙に浮き空を飛んだ。あっという間に小さな城の前に到着した。
そしてさらに驚いたのが会わせたいというのはそこの王様らしい。粗相のないようにと注意された。
連れられるがままに城の中を進む。さすがにあちらこちらに武装した兵士がいる。
そして階段を上るとそこには大臣らしき人物と王様らしき人物がいた。

俺は権力者と金持ちが嫌いだ。権力と財で肥えた豚は死ねと思っている。

適当に話を流していると突然聞かれる。

で、きみは旅人なのかね?何の目的で旅をしてるのかね?

考えた事もなかった。
訳もわからずこの世界に来て、ノリで化物相手に喧嘩売って、ぶっ殺されて、生き返って、
今王様の前にいる。俺はこれからどうしたいのだろうか。元の世界に帰りたいのだろうか。

否。

もはや別に帰りたくはない。未練無し。俺はしばらく黙りこくった。そして一つの単語が頭を過ぎる。

…世界征服…

そうだ。どうせならこの世界を手に入れてやろうじゃねーか。一度死んだんだ今更恐いものなんてない。
男なら一度は誰もが夢見る世界征服。この世界で実現してやろうじゃねーか。

妙に興奮してきた俺は一応無難に強くなる為の旅をしていると答えておいた。
王様はうんうんと頷くと無茶なお願いをしてきた。今この世界のどこかを勇者が旅をしている。
会ったらそいつに協力しろと言い出しやがる。
奇跡的に生き返った事、魔物を倒したその腕力はもしかしたら俺も選ばれしものの可能性があるとの事だ。

…たくどこまでもおめでてえやつらだな。そんなわけあるかっつの。 
しかしながら旅の軍資金として500G、ちなみにこの世界の通貨はゴールドというようだ、と、
うまい昼飯を食わせてくれるらしいので気が向いたらなと答えておいた。
俺はこの世界について知らなさ過ぎる。利用できるものはなんでも利用しなければ。
いずれこの王とやらも俺の前に跪かせてやるぜ。

その日は一日中情報集めと旅の準備に走り回った。得られた情報は

[1]魔王と呼ばれるやつが世界征服しようとしてる
[2]勇者と呼ばれるやつが魔王討伐の旅に出てる
[3]選ばれし者は神様の恩恵で(ちなみにこの世界の神様はルビスと言うらしい)生き返る事がある。

つまりまとめるとだな、俺にとって魔王も勇者も邪魔な存在なわけだ。
この世界の覇者になる為にはこいつらをどうにかしないといけない。
俺は考えた。
やはり最初どちらかに味方して片方を倒す。
そしてその後もう片方を潰すのが一番効率が良いだろう。ではどちらに味方するべきか。
普通に考えて勇者の味方だろう。しかし待て。どうも魔王がそこまで強いやつとは思えない。

果たして本当に強いやつが手下を使ってちまちま小さな村の畑なんぞ襲わせたりするだろうか?
もしかして世界征服などたいそうな事しでかしてるわりには数にものを言わせるだけの小心者で雑魚なのかもしれない。
もしくはただのバカか。どちらにせよスケールの小さい男だ。

仮に勇者が屈強な大男だとした場合、トータル的に手ごわいのは勇者>魔王だろう。
つまり強い勇者を数の多い魔王軍と協力してブチのめし、その後魔王も倒すのが一番賢い。
完璧だ。自分の策士ぶりに我ながらビックリだ。
決まりだ。俺は勇者討伐の旅に出る事にした。
ただ今のままではどちらにも勝てそうにない。一手下でしか無いアホヤクザ猪に苦戦するくらいだ。
やはりここはどう考えても強力な武器がいる。さすがに釘ひのきだけじゃ心もとない。
それと仲間だ。忠実にして強い舎弟が必要だ。
ここで旅の目的が明確に定まった。

「この世界で新鬼浜爆走愚連隊を旗揚げして魔王を従え勇者を潰しその後魔王も葬る」

こうして俺の冒険は今始まった。
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