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タカハシ◆2yD2HI9qc.の物語

いのちの循環いのちの記憶
「"いのちの源"とは─
 …全てはそこから始まっているのですよ、タカハシ
 この話を聞けばあなたの疑問は全て解かれることになるでしょう」

"いのちの源"なんて言葉はメイに聞くまで知らなかった言葉だ
そしてルビスはそれが全てだと、言う…
そんな大事な事をなんで今まで話してくれなかったのか─

「…"いのちの源"とはその名の通り、全ての生命の源です
 植物、人間、虫、動物、魔物、ありとあらゆる"いのち"を持つものの根源…」
「魔物も、なのか?」
「そうです
 肉体を抜け出した人や動物、魔物全ては遠く上空を超え、更に果てしない場所で一緒になり混ざり合います
 混ざり合った生命は浄化され、新たな肉体へ宿るときを待っているのです」

じゃあ、死んでいった魔物や人間のいのち…
そしてメイの"いのち"も─

「分け隔てなく善悪も関係なく… タカハシ、命は皆おなじであり平等です」
「平等…だと?」

人を無意味に無差別に殺す魔物達も"平等"なのか
いつか、なんらかの生命の元になって平然と生きていくというのか
殺された側からするとたまったもんじゃないな…

「…"いのちの源"、それは"いのちの輪"です
 空へ昇った"いのち"は輪になり、そうして互いを輪の中で共有する
 未来永劫かぎりなく全ての"いのち"と関わりを持ち、"生きた記憶"を後世へ残してゆく」

難しい、話だ…
童話でも聞いているみたいだが、こんな異世界が存在するほどだ
何を言われても不思議じゃないし、そんなものなんだろう
だけど─

「……それがどうして、俺の疑問が解ける事と関係するんだ?」

少し伸び、俺は身体を起こしベッドから降りる
身体は軽く、不調など全く感じない
それどころか体の奥底から力が沸いてくるようだ

軽く身体をひねり、俺がベッドへ座ったのを確認してから、ルビスは話し出した

「まずゾーマについてお話せなければなりませんね…」
「魔王だろう? 知っている」
「そうではありません
 なぜゾーマが私たち神や勇者を超えることができたのか、という話です」
「どういう事だ?」

少し乱暴に言葉を返したが、
ルビスは気に留めることなく続ける

「ゾーマは"いのちの輪"の繋がりを絶ち、自らの力にする術を知った
 それにより、三つ目の世界で思念となった自身を、若い肉体へと変化させることが出来た」
「三つ目の世界だって?」
「そうです この剣と魔法の世界はそれぞれが独立して八つあるのです
 ゾーマは八つあるうちの三つ目の世界で、やはり邪悪な存在でした
 私は囚われ石にされ、しかし私の導いた勇者にゾーマは打ち倒されました」

ずいぶんと、因縁の仲らしいな…
ついでに聞くが八つの世界は互いに関係するのか?

「はい、同じ輪を共有する世界ですから…
 独立していても全く別世界とは言えず、一つの世界の続きであったりもします」
「ふうん……
 まさか、もしかして、俺の世界とも繋がってるのか?
 この世界みたいに魔法はないけど…」

"生命の根源"である"いのちの源"は"いのちの輪"となり全て交じり合うと言ったし、
俺の世界の"いのち"もそれは例外じゃないだろう─

しかし、ルビスの答えは俺の予想とは違っていた

「いいえ、関係はありません」
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