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タカハシ◆2yD2HI9qc.の物語

悪夢
「タカハシ! 起きて!」

ん… 誰だ俺を起こそうとするのは…
俺は眠りたいのに……

「今日から一緒に旅するって言ったでしょう! 私よ、メイよ!」

メ…イ?
メイ?!

ガバッと、声のする方へ勢いを付け立ちあがる

「どうしたの? 目は覚めた?」

目の前にいるのは紛れもなく─ メイ

「メイ……!」
「寝坊よ! 待っていたのに寝てるなんて!」

この場所は、見覚えがある
そう確か…… フィッシュベルの宿屋だ

「ここはフィッシュベルの宿屋… か」
「そうよ 扉を叩いてもあなたは出てこないし、部屋の中まで迎えにきたんだから」
「メイ… 生きて………」

時間が戻ったのか
俺がずっと悪い夢をみていたのか
目の前で生き、少し怒った顔のメイに俺は、涙が出そうになる
存在を、確かめようと手を伸ばす─

「迎えにきたのよ、あなたを相応しい場所へ連れていくために…」
「え、連れていくって…」

な、なんだ これはメイじゃ、ない……?

「私は生きていない、なぜ?
 だって、フフフフフ… あなたが殺したじゃない フフッ
 あなたが剣で、私を斬り殺した…!!」
「な………?!」

メイの姿が突如、霧状の魔物へと変化する
景色も一変し、宿屋の一室から赤く黒くウネウネと動く空と、草一本生えていない土の大地になる
一瞬、言葉が頭の中から消滅し、目の前の出来事が色を無くしてしまったかのよう─

「フフフフ… あなたが、殺した……」

「あ、ああ・…」

ゾーマとの闘い…
俺のこの どろどろとした、心

苦し、い…
現実が、事実がこんなにも苦しい…

これ、で、何度目だ
何度、おなじ光景を見てきた
わかってるじゃ、ないか
もう戻らないなんて、こと

しばらくすれば、気を失うんだ
そうして、また、繰り返す

到底、許されることは、なく
許すこと、なんて、出来ない─
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