[] [] [INDEX] ▼DOWN

タカハシ◆2yD2HI9qc.の物語

混濁
佇む心
身体は微塵も動かせず
動かす意思も無く

「俺が殺したんだ…」

何万回目の同じ言葉か
思考は一つに支配され
両の手で膝を抱えたまま
固く硬い柔らかな空間

突然、異世界へ飛ばされ
見た事も聞いた事も無い世界での毎日
その日常の中ではっきりと"生と死"を感じ
闘いの中へと身を置いて来た

今まで意識もしなかった
見慣れた景色のように
自分の手で生き死にを決定する世界

己の身を守るため
誰かを守るため
慣れない世界で剣の腕を磨き
不可解な理由で旅する事を強要され
それでも懸命に歩いてきた

それが自分の世界へと戻る唯一の方法であったから─

旅のある日
見知らぬ男と出合った
それは混沌の根源、魔王ゾーマ

魔王との闘いのさなか
彼は仲間を斬った
まやかしに踊らされ殺した

気付いたときは手遅れで
自らの愚かさで─

無理も無い事だった
彼は閉じ篭り
感情を表に出す事に怯える

なぜ
今の現状はあるのか
その理由を求め
二度と戻ることの無い
久遠の旅路へ踏み出そうと していた

知る事のない理由を
知る事が出来ないと知る為に
[] [] [INDEX] ▲TOP

©2008-AQUA SYSTEM-