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タカハシ◆2yD2HI9qc.の物語

遙かな時間
アトラスを倒ししばらくの休憩後、俺達はチゾットへ向け歩きだしていた
しかしあまりに厳しい戦いだったために、二人とも気持ちを前に進めることが出来ない
あまりに強すぎた敵アトラス…
そんな、お互いが不安定な状態では危険過ぎる
またゾーマの刺客が現われるかもしれない
だから明るいうちに野営を始め、そしてそのまま夜を迎え今に至っている

魔力を使い果たし疲れ果て眠るメイ
穴の空いたプリンセスローブは丁寧に繋ぎ合わせられ、血痕だけが濃く残っている
俺が身に着ける魔法の鎧はぐしゃりと潰れてしまったから、途中で破棄してしまった
今の装備は予備として持ち歩いている旅人の服
どのみち、アトラスのように強い魔物の前で、魔法の鎧は全く意味を成さない

「あの力は、なんだったんだろう…」

ルビスに"守りたいモノや人を思いなさい"と言われ、思ったのはメイと自分の世界…
そして俺は意識を失い、いつのまにかあのデカブツを倒していた
ルビスの言う"真の力"はあの事だろう
だけどあれ以来、力を感じることは無くなってしまった
もしかしてまた死にかけなきゃ発揮されないとでもいうのか…?

「ふぅ…」

俺は溜息と一緒にググッと腕を伸ばし筋肉をほぐす

あの時"自分の世界"を思うのは当然だけど、今の目的である"トルネコと呪い"を思い浮かべることが出来なかった
いや、当り前かもしれない
目の前で木に貫かれたメイがいたんだ
だけど……
それだけじゃない感情が、俺に入り込んできていたのも事実
俺はこの世界の住人じゃないのにな
メイはどう、思ってるんだろう…

だめだ
俺はこんな感情を持っちゃいけない 捨てなくてはいけない
イシスからチゾットへ向かう間、ずっと考えていた

ここは俺の世界とは繋がることのない、遙かに遠い異世界なんだ
いつかは終わる、旅なんだ
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