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タカハシ◆2yD2HI9qc.の物語

旅の支度
宿屋へ戻った俺は早速旅の準備をするため、まず地図を広げた
フィッシュベルからイシスまで、そんなに遠くはなさそうだ
これなら新たに買わずとも、今ある食糧で間に合うだろう
他は特に何も無い、旅の準備は五分程度で終わってしまった

「ああそうだ、メイにも知らせないと」

言葉とは裏腹に、身体はゴロンとベッドへ転がった

まだ時間も早いから寝てるかもしれない
俺も少し寝よう…

仰向けで瞼を閉じる
朝早くに起こされたせいか、すぐに眠ってしまった─





「タカハシ! もうお昼よ、起きて!」

んー ああもう昼なんだ…

「あー、おはよう いきなりだけど明日、村を出るよ
 オリハルコンの剣が出来上がったんだ」

目をこすりながらメイに伝える

「そう! 私はいつでも出発できるわよ
 もう古文書を眺めて古代魔法を想像するのには飽きちゃって」
「はは 気が早いな、まずはイシスへ行くんだよ?」
「ええ、イシスへは十日くらいで着くわ」
「十日か、それなら大丈夫だ」
「イシスできちんと準備しましょう この村には預り所もないし」
「そうしよう それで、洞窟へ行く途中に寄れる町はある?」
「チゾットという山奥にある村を通るわ
 それよりも、休憩所が心配ね…」

休憩所は無いと困る
水を安全に補給できる大切なポイントだ
湖が多いこの世界、だけどそういう水場は魔物も多い

俺はベッドを離れ再びテーブルへ地図を広げる

「立派な地図ね、休憩所の場所まで書いてあるなんて初めてみたわ」
「うん、これはトルネコさんの地図なんだ、重宝しているよ」
「勇者様の使っていた地図! あなたなかなかやるわね」
「そうか? 普通に使ってた」
「それは、勇者様の元で修行してたから有り難みが薄いのよ
 あ、洞窟はここ」

グランバニアを中心とすると、今いるフィッシュベル、イシスは東
ライフコッドと魔王城は北、西は町が一つもない狭い地域
そしてメイが指さした場所とチゾットは南に位置している
ちなみにフィッシュベルから見てイシスは南にある

「ここか、となると休憩所は…… よかった、たくさんある」

グランバニアからフィッシュベルまでの道程よりも休憩所が多い
これで水に困ることはないだろう

海は… 無い
半分が平地でチゾット辺りから山道になっている

「こんなもんかな イシスでしっかり準備すれば困ることはなさそうだ」
「そうね、休憩所が多いのは助かったわ ちなみに洞窟の名前は"封印の洞窟"よ」
「そのまんまの、わかり易い名前だなぁ」

しばらく、地図の上で指をなぞり路を確認する

「じゃあ、私はカンダタさんとバロックに挨拶してくるわ
 しばらく戻れそうにないものね」
「わかった 今日はゆっくり休んで明日早く出発しよう」
「ええ 明朝、村の入口で」

メイが部屋を出ていく

俺も旅慣れたものだ
こんなやりとりが普通に出来る
向こうの世界では自分から動く亊なんてなかったのに、変われるもんだな…

地図を畳み、オリハルコンの剣を腰に下げ鞘から抜く
ヒュンと一振り、振り降ろした切先をゆっくり目の前の高さまで持ち上げる

「フッッ」

気合いの声と共に左へ右へ、何度も空気を斬る
最後に頭上から一振り、そのまま剣室へ刀身を納める

まるで違う感覚
これなら今まで以上に戦いの中で動けそうだ
いつまでも一対一の戦いだけ強くても、この先生きていけない
精神力を力に変えるオリハルコン
イシスで魔力を持つ亊でどのような力をみせてくれるのか、今から楽しみだ

そのまま夜になるまで、俺は剣を降り続けた
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