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タカハシ◆2yD2HI9qc.の物語

商人トルネコ
休憩しながらもかなりの時間を歩いてきた
景色はだいぶ変わり山が見え始め森が増えてくる
人や民家は全く見当たらないが草木の生えないまっすぐ伸びた道を見付けそれを頼りに歩く

途中何回か青いプヨプヨしたゼリーの様な生き物に出会った
見たことも聞いたことも無い生き物で一見するとかわいいのだがジャンプして体当りをしてくる
一回だけ体当りを受けてしまい、その重さにびびって後は全て全力で逃げた

「ふぅ かなり歩いてきたが、見事に何もないな…」

空腹と不安で疲労はかなり溜まってきている
なにより水分補給出来ないことで体力も気力も確実に削がれていた

「喉、かわいたなぁ… あのプヨプヨかなり瑞々しかったなぁ…」

それから更に歩き続け、陽が傾いてきた所で小さな湖とその側にあるこれも小さな小屋を見付けた

「み、水だ!」

湖まで走り水をすくい、夢中で喉を潤す
渇ききった喉では味覚を感じることは無い

「フゥ… よかった、このなんでもある御時世に渇き死ぬかと思ったよ…」

落ち着いた所で小屋を見る

「誰も居ないみたいだな、電気も…ついてない」

湖にはボートもないし何のためにある小屋かは不明だ

「…ちょっとこわいけど、まぁいいか」

辺りは暗くなり始めている
今夜はここへ泊まる事に決めた、念のため人が居ないことを確認する

『コンコン』

「誰か居ますか? 入りますよ!」

おそるおそるドアを開け中を確認する
小屋の中には長椅子三つと石のかまど、小さなテーブルがあるだけだ

「良かった誰もいない…」

長椅子に座り"ふぅ"と溜息を付く

「なんで日曜日なのにこんな事してるんだろう
 ここがどこかもわからない…
 分かっているのはとんでもない山奥に食糧も何も持たず一人だって事…」



今俺は大変な事になっている
あの青いプヨプヨがたくさん俺の上に積みあがっているのだ
もう身体は限界、そこに巨大なプヨプヨが現れジャンプ!

「やめろーー!!」

ハッ!!
ゆ、夢か良かった…
寝てしまってたんだな… ん?

「…?!」

心臓が飛び出すかと思うくらい驚いた
何時の間にか小屋にはもう一人、中年の男がいたのだ

「私はただお茶を……」
「う、あ いや、寝言ですから… 気にしないで下さい…」
「そうですか、よかった
 寝ていたから起こさずにおいたんですよ
 驚きました お茶を茶碗に入れようとしたらいきなり"ヤメロ!"ですからね ホッホッ」

中年男性の見た目は古い時代のエジプト?っぽい服装
身体はがっしりしていて口元には見事な髭をたくわえている
天井にはこの男が吊るしたであろうランプが煌々としていた

「勝手に小屋を使ってしまって済みません」
「うん?ホッホッ
 ここは誰でも休憩出来るようにとグランバニアの国が造った小屋ですぞ
 名乗るのが遅くなりましたが私の名前はトルネコ、旅の商人をしております」
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