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◆2yD2HI9qc.の物語

二十六、ドラオの変化
「ああ! スラぼう大丈夫かー!」

スライムはむくむく元の大きさに戻りましたが、その目はひどくおびえています。

「おおお、おい! 降参してるのに攻撃してくるなんてヒドイぞ!」

ナイトが恨めしそうにヨウイチを睨み、ドラオはもうろうとしていました。

「ドラオ、なんでこんなことを!」
「きぃ」
「おい!」

ドラオをつかみゆさゆさしながら問います。

「もう戦いは終わったんだ、わかったな!」
「き…」
「!!」

ヨウイチは驚きます。
つかむ手を、ドラオは振りほどき噛み付いたのです。
手には歯型が残っていました。

「お… おい… なんで、どうしたんだよ…」

声が届いているようには思えません。

「もしかして… こうなったのはお前が変なことを…!」

ヨウイチはナイトにつめよりました。

「中途半端に手なずける技が効いてしまったからかもしれない。だがそれはオレのせいじゃないぞ! お前が…」
「どうでもいい! 早くもとに戻すんだ!」
「いや、出来ない。戻し方は知らない」
「知らないって適当な…!」

ドラオがふらふら飛びながら壁にぶつかって、そのまま意識をなくしてしまいました。

「大丈夫か…? 気を失っただけか… とにかく! 券は渡したんだから、さっさとすごろくいって来い!」
「む。言われなくたってスラぼうが元気になったら行く。そっちこそここから早く出て行ってくれ!」

ヨウイチは黙ってドラオを抱え洞窟を後にします。
入るときよりも早く出口を抜け、マウントスノーへと急ぎ足で戻るのでした。
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