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[DQ4]11泊目>>628[2]
私たちはエンドールで暮らすことになった。世界の中心地。大都会エンドール。
ここで私たちは劇的な出逢いを果たすことになる。それがいつになるか分からない。だが待たなければならない。それまでに生活もしなければ食べていけないので仕事をしていた。
占いが好きで自分で占いをするようになってから実は恥ずかしながら占い師になりたいとは思っていた。
だが現実は厳しいもので得られる金額が微々たるものと知ると副業にするには良いがそれだけではご飯は食べれないと。
副業といっても現実世界では本業が忙しく副業にまで手が出せないのでせめて趣味でと占いをしていたのだが。
都会で人が多いからなのか、占いの腕がいいからなのか。連日お客は途切れなかった。
外見は違うけど中身は私。占い一本でごはんが食べれるようになり夢が叶った。仕事は大変でも好きなことをしていく苦労は辛くなかった。
エンドールで生活をして数ヶ月たったある日。その日はやって来た。絶望に打ちひしがれた顔でこの都会をさ迷う緑髪の青年。勇者と定められた者の姿を。

勇者を加え、エンドールを離れ、私たち姉妹の旅はまた始まる。旅の途中同じ光を持つ仲間たちを導く。
最後の戦士を迎える為に私たちは大陸を渡る。故郷の地。再度踏むことが出来た。
二人では不可能だったことが仲間を得てようやく叶った。本壊を遂げられた。仲間たちは我が身のように喜んでくれた。今度は私たちが皆にお返しをしてゆく。
旅の仲間は面白い人たちばかりだった。時には深い話しもした。深い話しが出来るほど仲間たちの絆は深まっていた。
だがやはりマーニャ以上にはなれない。
それは血の繋がった二人っきりの姉妹だからなのか。旅の仲間たち以上に長い時間を過ごしてきたからなのか。
ミネア一人では仇討ちを決意しなかった。性格上泣き寝入りしていただろう。姉が、マーニャがいたから、行動に移すことが出来た。
それはきっと―――マーニャも同じだっただろう。
苦労した。だけどそれ以上に笑顔で旅が出来た。あんな散々に姉のことを愚痴っていたけどそれは愛嬌。他者がマーニャのことを悪く言ったらミネアは怒り狂っているかもしれない。
私は…ミネアは…悔しいけれど…マーニャが大好きだった。
それは…真逆の性格をした私の姉に対する感情と同じだった。


旅を続け、大いなる運命に導かれ、私たちは最後の戦いに挑む。

マーニャは火炎呪文メラゾーマを唱え、巨大な火炎球を進化の秘法を使い進化した巨大な敵にぶつける。
敵は開口し冷たく輝く息を吐いた。
「フバーハ!」
私はすかさず光の粒子の衣で仲間を守る。
「ありがとミネア」
マーニャがウインクした。
「進化の秘法は父さんのものよ。あんなものに悪用されてたまりますか!」
マーニャは再度メラゾーマを唱えた。
私は回復呪文ベホマを唱え、仲間の傷を全快する。回復呪文で傷を癒すのが私ならば精神的なフォローをしていたのはいつもマーニャだった。そして今日も。
以前から思っていた。この戦いが終わったらもしかしたら私、元の世界に帰還するんじゃないかって。だってこれで『ゲーム』は終わりだもの。
隣で攻撃呪文を舞うように放つマーニャ。そこにいるのはマーニャなのに、何故だろう。自分の姉ちゃんに見えてしまっていた。
「姉さん…」
「こら、これは戦いよ。ぼっとしている間もないわ!」
「姉ちゃん!」
マーニャは驚愕した顔だった。
「姉ちゃん、わたし、姉ちゃんが結婚してもずっとずっと好きだから。喧嘩しても、離れてしまっても。だって、二人っきりの姉妹だもの!」

私は何を口走っているんだろう。だけど言わずにはいられなかった。
マーニャは私を見つめ…そしていつものように笑った。
「あたしもミネアがいて良かったよ。ありがとう。結婚して離れてもあたしたちはずっと一緒よ」

まだ感傷に浸るのは早いわ。さぁ、片付けちゃいましょとマーニャは再度メラゾーマの呪文を紡ぎ出した。


私たちは敵を倒した。魔族と人間の戦いに人間が勝った。
父エドガンが発見した進化の秘法は私たち姉妹が奪回し封印した。
マーニャはまたモンバーバラのステージを踏んだ。私はまた占いを始めようとしていた。そこで…記憶は途切れた。


…私はどうやら夢を見ていたようである。現実と間違えてしまいそうな長い長い夢を。
部屋の中は真っ暗。今日が休みだとはいえ一日潰して夜まで寝込んでいたようである。身体を伸ばすと間接がパキポキ乾いた音を立てた。
携帯をチェックする。メールが届いていた。姉ちゃんからだ。久々だ。
『おひさー。元気でいる?あたしは元気だよっ。別に用事はないんだけどさ、夢にあんたが出てきたんだ。だからどうしているかなって』
更に続く。
『昔ドラクエに出てきたモンバーバラの姉妹っていたじゃん?あたしが姉のマーニャであんたがミネアになっているの。それで最後の敵いるじゃん。その時ミネアが姉ちゃんってあたしに話しかけるの。姉ちゃん好きだって。なんだかすんごくリアルだったんだ』
え…もしかして…。
姉ちゃんの告白に私は驚きを隠せない。
『離れてしまっても、ずっと思っている。だって、二人っきりの姉妹だもの』
姉ちゃんには、私も同じ夢を見たよとメールを打ち返した。

―――了―――
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