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総長◆Lh6WfP8CZUの物語

東へ[5]
パンツが腹が減ったとごねるので飯にする事にした。ここでいいんじゃないさっきも寄ったしと勇者が立ち止まる。
げっここは…ここは例の酒屋だ。ヤバイバレる。
おいここはやめて別のとこにしようぜなんか辛気臭い店だしってオイ!
総長である俺を差し置いて勝手に店に入るな!あーあ行っちゃったよ。

中に入るなり店長と目が合う。意味深な目で見つめる俺。
いいかくれぐれも俺に神酒を渡した事は喋るなよ…そんな視線。店長はコクッと頷いた。通じたようだ。
やはり真の男同士は目で語れるものだ。店長イカスぜ!あんたも漢だ!

あなたはさっきの!生きてたんですね…!神酒は役に立ちましたか!?

一気に俺に集まる視線。な…なんだよその目は!見るな!こっちを見るな!
まあいいわとりあえず座りましょうとねーちゃんが誘導する。

さて。うんそうだな。まあここは英気を養うためにまず一杯…ピシッ!
ねーちゃんの張り手が持ちかけた俺のグラスを叩き落した。やっべ目が座ってる。
仕方がないので酒は一旦諦めて真面目に会議をする事にする。

議題は二つ
・どうやってあのデカブツを葬るか。
・誰があの扉を開けて町を襲わせているのか。

デカブツは本気だせばどうかなるだろ?大体酒飲ませて動けなくなったとこ襲うなんて男の闘い方じゃねえ!

…………。まあいわ。それよりも問題はあの扉。まず考えられるのは魔王軍。
でも私はこの線は薄いと思う。

…なんと。大本命をいきなり切り捨てやがった。てかありえねーだろ。
わざわざあんな化け物をけし掛けたり閉じ込めたり繰り返す様な奇特なバカは魔王以外いねー。

しかしねーちゃんが続ける。

魔王軍なら一気に滅ぼしてしまうと思わない?なぜ中途半端に襲わせるのかしら。
見たところこの町に目立った被害わないわ。生贄が要求されるくらい。
そんな回りくどい事をするメリットなんて無いわ。見せしめに一気に潰した方がいいもの。

……なるほどな。そう言われりゃそーだ。じゃあ一体誰が…
あの洞窟は普段人は近寄るのかとねーちゃんが店長に尋ねる。
店長曰く国の御触れでなるべく近寄らないようにとの事だそうだ。
近づいたら牢ぶっこむぞって程でもないが、あまりいい思い出の場所でもないので滅多に自発的に行こうという人はいないらしい。

益々行き詰る。いや行き詰るというよりはなんだろうこれは。強烈な違和感を感じる。
……………。まさかな。そんなはずはない。ねーちゃんと目が合う。どうやら同じ事を考えていたようだ。

ヒミコの所へ行こう。

まさか国が犯人だとは思えない。ただこんな大掛かりな事をできるのは魔王軍かこの国の機関かのどちらかだ。
少なからず何かは知っているはずだ。

勇者とおっさんは難しい顔をしていたが仕方ないと頷いた。パンツは寝ている。
俺達は店長一家に礼を言うと足早に城を目指した。


衛兵の制止を振り切り俺達は中に入った。そしてヒミコの前に立つ。
勇んで来たはいいものを何をどう説明しようか。やべこのままじゃまた只の侵入者だ。
と、ねーちゃんが簡潔に事情を説明した。ひみこはため息をつくとそこにいる全員席を外せと命令した。

実は…確かにおかしいのじゃ。突然解けた封印。姿を見せるが実際大して暴れたりはせん。
しかし封書で生贄を出せと要求する。無論あの化け物がそんな事できるわけは無い。
その存在だけで国の民は脅えおる。

コイツは本当に何も知らなさそうだ。……………。よし。明日もう一度あの洞窟へ行こう。
面倒くせえ。ごちゃごちゃ考えるのはアイツをぶっ飛ばしてからだ!

すまんな勇者殿達よ。

勇者はいいんです頑張ってきますと笑顔で答えた。決戦は明日だ。
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