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タカハシ◆2yD2HI9qc.の物語

テリーの姉さん
「姉さんには話したっけ、タカハシと俺が旅をしたこと」
「ええ、グランバニアで兵士を辞めて旅に出た後のこと… 何回か聞いてるわ」

ああ、話したんだっけ
あまりに時が長いから、つい最近のことさえ忘れてしまう

「そっか だけどここにはメイって娘はいない… 途中で別れたのかな?」
「話していた、タカハシと旅をしていた女の子?」
「うん… 確か賢者だったし、魔力強いから連れてこられてもおかしくはないんだが…」
「今ここで、私達が話してもきっと悪い方向にしか向かないと思うの
 だから、彼が元気になったら、その時に聞きましょう」
「それもそうか… そうするよ」

裁縫道具を手に取るミレーユ
糸をたぐり、タカハシが着ていた旅人の服を繕いはじめる

針か…
こういう道具を平気で俺たちに渡すなんて… 馬鹿にしやがって!
くやしいけど、今は雷鳴の剣があったとしてもここの魔物には太刀打ちできない
力が、力がどうしても足りない…!
タカハシ! 早く、はやく目覚めてくれ!

「ねぇテリー どうしてこの彼を、そんなに助けようとしているの?
 それは、友達だっていうのはわかるわ
 だけどあなたのその気の張り方、普通じゃないもの」

起用に、解れた布を縫い合わせながらゆっくりと、姉は言った

「え うん… それは彼の実力を知っているし、味方に出来たら心強いじゃないか」
「…そうね、一緒に旅をして知っているんですもの 変な事を聞いてごめんね」
「いいや、いいんだ 確かにちょっと、焦りすぎていたかもしれないから…」

姉さん、ごめん
今言った事は嘘じゃないんだ
けど、だけどそれだけじゃないんだよ
実は俺、ルビス様から声をかけていただいたんだ
そして、タカハシが担っているモノを知った
だからどうしても、こいつをなんとかしなきゃいけない
偽っているみたいですまない…

「テリーは旅に出て、だいぶ変わったわね」
「え?」
「前は、兵士っぽかった… 兵士だったから当たり前だけど、今は違う
 自分の言いたい事を、相手に伝えてくれる」
「そう、かな?」
「そうよ 話し方なんて特に変わった─
 だけど、変わらない部分もある それは、まっすぐ直向なところ」
「姉さん…」
「だから私は信じてる
 どういう理由があろうと、テリーがすることを私は信じてる」
「うん…… ありがとう」

目覚めないタカハシに焦りはじめた俺を見て、姉さんも不安になったんだ
しっかりしろ! テリー!

こうして俺を信じると言ってくれるじゃないか
諦めなければルビス様もきっと、守ってくれる

必ず、タカハシを目覚めさせて世界をどうにかするんだ
きっとうまく、いくはずなんだ…
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