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◆8fpmfOs/7wの物語

第2話 タロウの犬転換
町の外では大きなバッタや空飛ぶネズミが襲い掛かってくる。
僕は噛み付いたりなめ回したりしながらなんとか撃退して行った。
でも、戦っているとき矢が当たっちゃった。痛いよお。

勇者さんを目指して僕は進む。
洞窟を抜けて山を登る。
でも、何か変だよ。なんだかくらくらする。
こんなときモンスターに襲われたら大変だよ……

『何だお前は?』
魚のひれみたいなものをつけたお兄さんがいる。
モンスター……じゃないよね?
『毒を受けているな。毒矢頭巾にでもやられたか。』
そういうとお兄さんは僕に葉っぱを食べさせてくれた。
『毒消し草だ。これで体の毒は消える。』
お兄さんは僕を助けてくれてみたい。
『お前、一匹で旅をしているのか? 気をつけていけよ。』
「わん!」
『ちょっと待った! なんだお前の格好は!? それじゃ旅はできないぞ。』
格好って言っても僕が身に着けているのは首輪だけだよ。
『袋のなかにいろいろはいっているから持っていけ。』

タロウは鉄の爪を装備させてもらった!

わー、かっこいい爪だね。僕も少しは強くなるかな?

お兄さんのおかげで僕は小屋までたどり着くことができた。
「くーん……」
『何だお前は?』
なんだか恐そうなおじさんがいる。この人が勇者なのかな?
『お前みたいなワンちゃんは一晩泊まっていきやがれ!』
えー! なにそれー!

「すまない。我が主は少々強引なのだ」
この小屋にも犬がいて僕に話しかけてきた。
「ううん泊めてくれてありがとう。ねえ、あの人が勇者なの?」
「いや、勇者は……おや、ちょうど来たようだな。彼が勇者だ」

『じいさんいるかー。シンシアがスープ作りすぎたから持ってきたぞ。』
『何で毎度毎度シンシアちゃんは分量間違えるんだろうな。』
『知らん。おや、お前はさっきの犬じゃないか。』
さっきのひれのついたお兄さんだ。この人が勇者なのかな。
『迷い犬だったのか? そうだ、名前をつけてやろう。』
僕タロウなんだけどな。
『ボロンゴというのはどうだ? プックル、チロルなんてものいいな。』
ううう……不安だ。
『よし決めた。お前の名前はゲレゲレだ!』
いやー! お願いだから考え直してー!
『たっぷり可愛がってやるぞゲレゲレ!』
きゃー!

凄い名前をつけられて何をされるのかと思ったけど、普通に遊んでもらったよ

「すまない。勇者殿は少々強引なのだ」
「ううん楽しかったよ。ゲレゲレにはびっくりしたけどね」
「そうか。それはよかった」
「こんなに良くしてもらえるのは、きっと生類憐みの令以来だね」
「何だそれは?」
「僕もよく知らないけど犬を大切にすることらしいよ」
「ふむ。初めて聞いたな」
そうなんだ。やっぱりここってどこか違う世界なのかな……
「僕ね、お家に帰りたくて勇者さんに会いに来たの」
「家に帰るために?」
「うん。なんだか僕のお家、こことは全然違うところにあるみたいなんだ」
「ふーむ。しかし頼みたくても勇者殿といえども犬の言葉は分からぬぞ」
ううう、勇者なら何でもできると思ったのにな……
「とにかく今日は疲れているだろう。ゆっくり休むといい」
「ありがとう。そうするよ」
「楽しい夢を見れるといいな。夢には不思議な力があるそうだ」
「不思議な力?」
「かつての勇者殿の仲間に夢で未来を見ることができる一族の者がいたそうだ」
「それは凄いね。僕もそんな夢が見てみたいな」
「何か未来につながる夢が見られるといいな」
むしろこれが夢だったら楽なんだけどな。
僕はそんなことを思いながら眠りについた。
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