4の人◆gYINaOL2aEの物語
エンドール
教会を出る。
ソフィアはブランカ〜エンドール間のトンネルを抜けた辺りで俺を見つけ、そのままエンドールの教会に運び込んだらしい。
神父が死人を蘇らせる。はっきりいって、よく解らない。じゃあソフィアは村の人達を生き返らせれば良いだろうに。
制約があるらしいのだが、その辺りは神官にしか解らないのだそうだ。なんだかふに落ちない。
まあ、それは置いておくとして、とりあえずはこの言葉を操れない娘の手助け位はしなければならないので。
しかし、お互い特に当ては無い。暫くは、この街に居る事になるのだろうか。
教会から大通りに出た所で、突然俺たちは声をかけられた。
「もし…旅のお方。占いはいかがですか?10ゴールドで貴方の未来を視てあげましょう」
ぐあ!流石都会、いきなり変なのに遭遇してしまった!
ソフィアが興味津々と言った風に占い師を見ている。
どうせこの手のなんて当たるも八卦当たらぬも八卦。俺は細木○子が大嫌いだ。
だが、ソフィアが引っかかってしまっている。
田舎から出てきた小娘に任せていては、カモにされる可能性も無くは無い。
様子を見る、という事で、間に割って入りとりあえず俺が占ってもらう事にした。
「解りました。では、今日のあなたの運命をこのタロットに聞いてみましょう。
……。……。
あなたの運命を示すカードは――きゃあっ!くさった死体の正位置!
な、なんて事なの……。
探しものが見つかりますが、腐っています。
ラッキーナンバーは7837029849375843ラッキーカラーはくさった卵色です。
あの……お気を落とさないでくださいね?占いは道を示すだけ。心がけや行動次第で――」
カードを奪って地面に叩きつける俺。
腐った死体ってなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおそんなカードねえええええええええええよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
ダメだダメだ!この占い師はインチキ占い師だ!
俺が暴れ狂っている間に、インチキ占い師はいつのまにかソフィアを水晶玉で占っていた。
「貴女のまわりには7つの光がみえます。
まだ小さな光ですが やがて導かれ大きな光となり……。 えっ!?
も もしや貴女は勇者さま!貴女をお探ししていました!
私の名前はミネア。導かれし者たちの一人です!ああ、これが運命なのですね!
さあ、光の導きのままに邪悪なるものたちを倒す旅に出発しましょう!」
俺は物凄い勢いで逃げ出した。勿論、ソフィアの腕を引っ張ってさ。
代金なんてしった事じゃない。それ以上に、アレはヤバイ。
まさか真性のきち○いに遭遇するとは思わなかった。インチキ占いとかそういうレベルじゃないヤバサ。
ああいうヤツラが神の名の下に突然大量殺人とかやりだすんだ。あーやだやだ。
何処をどう走ったものか。
軽く道に迷ってしまったので、ソフィアの提案でとりあえず此処からでも見えている馬鹿でかい城に一度行ってみる事にする。
なにやら、結婚式が開かれているらしい。
それも、ずっと。
なんでだ?そもそも、結婚式を何日もやるという感性が信じられない。アホか?アホなのか?
おめでたい席という事もあり、また、そうでなくても城は開放されているらしい。なんでよ。暗殺とかテロとかねーの?
もう解らない事ばかりで嫌になるんだが、此処をぐっと堪える。
ブランカでの分の償いもあったからだ。
結婚式はコロシアムで行われていた。何で、コロシアムで?いやまあ、行事をやる広場として存在するなら間違っちゃいないが、話によれば武道大会とかもあったらしいのに、そんな血生臭い場所でいいのか…。
観客席からは、幸せそうな男女が見えた。
俺は他人の幸福を見ると不愉快になる人間だったので、
「できちゃった婚おめでとー!お腹の子供は誰の子供かな?」
と、叫んでやった。言ってやった言ってやった。
兵士らしき人影が鬼の形相で迫ってきたのでマジ逃げした。
日が落ちて、夜。
宿屋兼酒場の一階で飯を食っていると、なにやらこの地下にはカジノがあるという話を聞いた。
かくいう俺は、アミューズメント施設を利用する天才だ!だったので、一も二も無く行ってみる。
スロット、ポーカー、もんすたーばとる(って何よ?いや、システムは解ったんだが…うーむ…)
種類は少ないものの、娯楽があるだけマシなのかもしれない。
俺は折角なんで、コインを10枚入手しソフィアに遊ばせる事にした。
俺の運勢はくさった死体らしいし、彼女の眼は目新しいものを見る度にキラキラとしていたので。
コインを握り、何に使うか物色し始めるのを見届けてから、ふとスロットの方に眼をやった。
そこには痴女がいた。
うはwwwwwwヤバスwwwwwwリアル痴女なんて始めてみたよwwwwwwwみwなwぎwっwてwきwたw
上半身はまるでビキニの水着を着てるようだ。いや、肩紐すらない。
下半身も深いスリットから太ももが丸見えで、殆ど足の付け根まで見えてしまっている。
軽く前傾姿勢を取りながらもそしらぬ顔で口笛なんぞ吹いてみたり。
すると突然、ソフィアが視界に入って来、痴女の隣に座りコインを投入し出した。
好機(チャンス)!
俺は通常の三倍の速さでソフィアの傍により、へ〜これに決めたのか、などと白々しい事を言いながら鷹のような鋭い視線を横に走らせ必殺のちら見を開始する。
乳デカスwwwけど俺はもう少し小さい方が好きwww背中もお腹も丸出しっすかwww
童貞には刺激の強い展開に幸福な右往左往をしていたのだが、不意に肩を叩かれる。
振り向くと、にっこりと笑った昼間の電波女がいた。
いかん!俺ともあろうものが女の色香に惑わされたか!?
逃げようとソフィアの方を見ると、コインが無くなりしょんぼりとしていた彼女に、痴女がコインを渡していた。
最初は戸惑った表情を浮かべ小首を傾げていたソフィアだったが、痴女がにっこり笑うと嬉しそうに再度コインを投入し、絵柄をじっと睨んでいる。
お、おのれ、余計なマネを――って、この二人肌の色も髪の色も似てる――。
「姉さん、お願いね」
「はいよ。任せといて」
NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
くそ、この痴女…!俺を騙しやがったな!?返せよ!?俺のときめき!!!
「はぁ?エロイ顔でじっと見てた癖に何を返せっての。というか、お代を払いなさいよ。タダ見は許さないわよ?」
知るかバカ!阪神優勝!
違う!
えぇい、こうなったら俺だけでも逃げ――ちゃ、ダメだよなあ……。
これからどうなるのだろう。おかしな宗教に入信させられた挙句にマインドコントロールされて修行しちゃうんだろうか。どうせ似たような事になるなら毒電波が使える方が良いのだが。
俺が自分の将来に絶望している間に、ソフィアは(うんのよさは低いくせに)777を叩きだし、痴女と一緒に喜んでいた。はぁ。
HP:18
MP:0
装備とかかわんねーよ!
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