隙間風◆njN6YTN.DIの物語
#01
空恐ろしくなるほどの静寂の中、シンシアは覚醒した。
つい先程まで聞こえていた、戦闘の音の数々は今は全く聞こえない。
呆然としながらも立ち上がり、おぼつかない足取りで扉に向かってゆく。
扉を魔法で開錠し、ふらふらと、今にも転げ落ちそうになりながら階段を上がり、地上へと出た。
「――――――――――――――――」
朝日に照らされた、村だったその場所をぽかんと眺め、シンシアは、
――ああ、酷いことをするところだった。
と、ふと何となく、そんなことを思った。
ふらりと一歩歩き、二歩目で膝から力が抜け、三歩目で地に崩れ落ちた。
立ち上がれない。
立ち上がれない。
立ち上がれる訳が無い。
「ああ……」
これほどの絶望を彼に背負わせようとしていたのかと、
今更ながらにシンシアは彼に謝りたい気持ちだった。
ああ神様、何故私がここにいるのでしょう?
どうしてここにユーリルはいないのでしょうか?
貴方が彼を勇者として遣わせたのではなかったのですか?
「ユーリル……?」
ふと、彼の気配を感じた気がして、シンシアは頭を起こした。
毒素に侵され腐り果てた花畑を這いずりながら進むと、
朝日を反射して微かに光るユーリルの羽根飾りが落ちていた。
「あ……」
ところどころに黒く変色した血がこびりついたそれを手に取った瞬間、
シンシアの中で何かが壊れた。
「……あは。あはははは。あははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははは――――」
笑って笑って、血を吐くまで笑ったあと、シンシアは一点の曇りも無い笑顔で空を見上げた。
「ちょっとだけ待っててねユーリル」
かみさまなんて、大嫌いです。
「あいつらを全部殺してから、私も行くから」
いつか出会ったら、八つ裂きにして殺してやろうと思います。
HP:92
MP:105
装備:E鋼の剣 E絹のローブ E羽根帽子
呪文:【炎熱】メラミ・ベギラマ・イオラ
【回復】ベホイミ・キアリー
【補助T】ラリホー・マヌーサ・マホトーン
【補助U】スクルト
【その他】モシャス
下級呪文省略。
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