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総長◆Lh6WfP8CZUの物語

大怪獣決戦![2]
総長殿総長殿…おっさんが話しかけてきた。てめえ無事か!?
はい!身の危険を感じた故あの岩の陰に最初から隠れてました!
っていばるなそんなもん!…え!?なんだと?
おっさん曰くあの動きからして頭はたくさんあれど脳は一つらしい。
で、その脳の場所だが全部の首の付け根が怪しいらしい。ほんとか!?

間違いありません!あやつさっきからそこだけかばっておる!わしはずっと見ておった!

この際試してみるしかない。ねーちゃんに回復してもらう。ある程度はこれで動ける。
問題はどうやってその弱点を狙えるかだ。さてどうするか。今こっちの戦力は…
ねーちゃんはほぼ魔力使い果たし、パンツは完全に動けない。残るは俺と勇者。
勇者を呼び寄せる。俺がなんとかしてアイツの注意をひくからお前が剣で弱点を突け。
俺のドラゴンキラーは折れてしまったためこれがベストの選択だろう。
わかったと勇者が頷く。ここで失敗すると勝ち目は無い。気合入れてくぞ!

ねーちゃんが最後の気力を振り絞って竜巻を巻き起こす。デカブツの注意はこっちにむいたようだ。
勇者が駆け出す。よし後は勇者が回りこむまで俺がヤツを引きつけるだけだ。
とりあえず回りこんでることに気づかれてはいけないので派手なの一発かましとくか。
イオ!!!わざと爆発の中心手前にずらした。デカブツは口をこっちに向けると炎を吐く。

俺はフバーハを張ると後は仁王立ちだ。耐え切ってみせる!!!!
熱風が視界を塞ぐ。だがしかし俺は倒れん!!息切れか炎は止まった。
デカブツが大きく息を吸い込む。俺はポケットに詰めてあった薬草を全部口に押し込んだ。

ぐにゃあ!ぐるぢゃらごういびゃ!(コラ!くるならこいや!)

第二波がきた!俺は男の意地にかけて倒れん!…………ぬううううう………
意識が遠のきそうになる。勇者は!?勇者は今どこだ!?勇者がデカブツによじ登っているのが見えた。
もう少しだ。ちくしょうだが目の前の敵はまた大きく息を吸い込む…きた!!!!

やられてばっかじゃないぜ!ヒャダルコおおおお!!!!!!

冷気が炎を押し返す。ぐうううううううう!!!!…だめだ魔力がもたねえ…!
逆に押し返される。多少勢いは抑えられたようだ。なんとか踏みこたえる。

これはもう限界だ。視界がボヤける。デカブツが二重にも三重にも見える。ここまでか…。
総長!起き上がったパンツが体全体を引き摺りながら寄ってきた。そして俺の横に並ぶ。

次の一発が最後になるだろう。その間に勇者が一撃見舞えれば俺たちの勝ちだ。
パンツ!俺たちの根性をあのクソデカに見せてやるぞ!はいでやんす!俺達は肩を組むとデカブツを睨み付けた!

怒号共に一際大きな炎が飛んできた。耐える耐える耐える!根性なら誰にも負けん!!!!!
全ての力を振り絞った。もはや体力は尽きている。だが時に気力は体力を凌駕する!!!!

イヤああああァァァァあああああぁ!!!!!!!

勇者の叫び声が聞こえる。どうなったんだ?
炎が止まりそこに写ったのは深々とデカブツの首元に剣を突き立てる勇者の姿だった。
さっきまでの激闘が嘘のように一瞬静まり返る。

……グ……グッウィヲヲオオオオオオオオオオオオ…!!!!!!!!!

明らかにさっきまでとは違う苦しみ方だ。七転八倒して大暴れした後、動かなくなった。
勝った…のか…?満身創痍の俺達が集まる。
いやーいやいや凄まじい死闘でしたな!
…いや一人だけピンピンしてやがる奴がいた…だが突っ込む元気もねー…

デカブツはもう完全に動かない。コイツ…本当に強かったな。デカイとはいえこっちは五人がかりだ。
おそらく俺一人でタイマンはってたら勝ち目は無かっただろう。強敵だった。
できる事なら墓の一つでも掘ってやりたいがさすがに無理がある。俺達は洞窟を後にした。
みんな疲弊しきっているのか無言だ。おっさんは一人興奮しているが誰も聞いちゃいねえ。
入り口で立ち止まる。どうしたの総長ちゃんと勇者が振り返る。

イ オ ナ ズ ン  ! ! !

轟音と共に入り口が崩れる。数分後岩盤で埋め尽くされ完全に埋まった。
強敵との闘いに敬意を表してこの洞窟をデカブツの墓標にしてやろう。我ながら粋な計らい…
完全に気力も体力も魔力も使い果たした俺はその場で意識を失った。

次に目を覚ましたのはあの酒場だった。そう例の神酒のとこだ。パンツがここまで担いできたらしい。
店長は号泣しながら礼を言ってきた。別にお前のためにデカブツと倒したんじゃねえ。
うざいから泣くな。と、ねーちゃんが手招きしている。ははーんさては俺の男の中の男の闘いっぷりに
惚れちまったか?ったくこれだからモテる男はつらいぜ。誘われるがままに店の外に出る。

勇者殿…

来た来た。いつでも準備は万端だぜハニー。今晩は最高級のスイートルームを予約しようかってぬお!
振り返った視線の先にいたのはおっさんだった。なんでてめーがここに居るんだチクショーが!!!
実は洞窟でこんなものを拾ったのですじゃとおっさんが勲章のような物を見せた。
竜の形をしていて真ん中にはよくわからない文字が刻まれている。なんだこりゃ。

それはジパングの紋章よ。それもかなり地位の高い人しか身に付ける事ができないものよ。

ねーちゃんが続ける。男心を弄びやがって酷いぜねーちゃん…ってえ!?どういう事だ!?
あの洞窟にこの国の偉い奴しか身につけられない物が落ちている。どうやら嫌な予感は的中した
ようだ。沸々と湧き上がる俺の怒り。すぐに酒場に戻り全員に召集をかける。

おまえらこれを見て欲しい。
みんなの視線が竜を象った紋章に集まる。
これは洞窟に落ちていたものだ。おっさんが拾った。ブローチだかペンダントだか何だかしらねーが、どうやらこの国のお偉いさんしか身に付ける事ができないものらしい。

勇者の顔が強張る。パンツが何か大発見をしたような顔で喋りだす。総長それはつまり…黙れ。
会議中においておまえに発言権は無い。

俺はハッキリ言ってブチ切れた。今から城に殴りこみに行くぞてめーら!
俺は大声を張り上げた。ちょっと待ってとねーちゃんが話し出す。

今日はみんな疲弊してる事だし準備を整えて明日改めて訪ねましょう。それにその格好じゃ多分城の中に入れてくれないわよ。

自分の服を見つめてみる。ボロだ。これは服というより完全なボロだ。いやしかし服装など関係ない!
俺は今殴りこみをかけたいんだ!

あの…お取り込み中失礼しますがささやかですが出来る限りの料理と酒を用意しました!
娘の恩人です!遠慮なく食べて下さい!

……よし。出発は明日にしよう。
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