[] [] [INDEX] ▼DOWN

ネガティブ君とおバカ君の物語

ボッツ登場[1]
―――何だこりゃ?
目に入ったのは、見渡す限りの草原。遠くにはでっかい城(?)みたいなもんが見える。さらに遠くには…何だありゃ?塔か?
まぁ、それだけでもここが日本じゃねぇことは解るんだが、問題はそこじゃねぇ。
青くてプルプルした気持ちわりぃ物体やら、やたらでかいなめくじやらが、
嬉しそうにそこら中を跳ねまわってやがることだ。

…ああ、これ夢だわ。最近疲れてるもんなぁ…。だからこんな幼稚な夢を見るんだ。
よし、決めた。冬休みには、久々に実家に帰ろう。たまにはゆっくりして、親孝行でもしてやらなきゃな。母さん、元気かなぁ…。

正志「ねーねー」

うるせぇぞ、夢の住民。俺は今、てめぇの相手をしてる暇はねぇんだ。

正志「あの青いの、スライムだよな?で、その横にいるのがファーラット。かわいーな
ー」

ああ、スライム。ドラクエの。そういやそうだな、似てるわ。
ホントに幼稚な夢見てるなぁ、俺…。

正志「なんかこっちに向かってきてるよー。逃げよーよー」

ほっとけ、どうせ夢だ。痛みなんざ感じねぇし、運がよけりゃ目も覚めるかもな。
ん?頭の中に数字が…?HP 30 MP 0?
さすがは夢。ここまでゲーム通りとは。

正志「わ、来たー!!竜司、そっちにスライム行ったよー!」

だから、大丈夫だっての。夢の中でまでうざったい奴―――
ド ン ッ !
次の瞬間、俺はあばらに強い衝撃を受け、2,3m吹っ飛ばされていた。

クソが、なんだよこれ…!!めちゃくちゃ…痛ぇじゃねぇか…!
呼吸が……できね…ぇ!夢じゃ…ねぇのかよ…!!

正志「りゅ、竜司!誰か!たっけてー!!」

* 「おーい!大丈夫か!?」

ん…この声…誰か…きてくれ…たの…か?
これが…大丈夫な様に…見え…るのかよ…クソが…。
ぜってーアバラいってるぞ…これ…。痛恨の…一撃ってやつか…。

* 「大丈夫じゃないみたいだな…ホイミ!」
ん…?あ、あれ…!?痛くねぇ!!
すげぇ!これは…呪文か!?

* 「これでだいぶ良くなったはずだけど…」

顔を上げ、俺を助けてくれた男を見る。やたら毒々しい色遣いだな…特に髪。
真っ青はねぇだろ…。まぁ、助けてくれたわけだし、礼は言っとくか。

俺 「ありがとな。助かったわ」
* 「礼は後でいい!今は敵を倒すことだけ考えて!」

倒すっつったってなぁ…元剣道部員とはいえ、素手じゃ到底無理だろう。

* 「何してんだ!その腰の剣は飾りか!?」

何言ってんだ、剣なんてどこに…。あ、あれ?
刀がある…。そんなバカな、ついさっきまでは無かっただろうが!

正志「戦おう、竜司!元剣道部員、なめんな!」
俺 「あぁ!?」


見れば、正志は既に刀を抜き、正眼に構えている。
なんて適応力のある奴だ…バカの癖に。
しょうがねぇ。俺もぼちぼち行くか。死にたくはねぇしな。
しかし、いきなり武器が現れるとは。しかも、「刀」なんて俺らにお誂えの物が。
都合が良すぎねぇか?やっぱ…夢なのか?
[] [] [INDEX] ▲TOP

©2006-AQUA SYSTEM-